2022.09.14

【進化する「返品対応」を聞く】「購入体験プラットフォーム」「リバースロジスティクス」などイノベーション加速


――返品の送料などをコントロールするための物流はどう対応したらいいのか?

返品だけではなく、買い取りや引き取りなど静脈の物流対応を強化している物流会社もある。富士ロジテックホールディングス(HD)はリバースロジスティクス(返品物流)に強みのある物流会社だ。関東や関西、中部、福岡などの人口集積エリアの近くに物流拠点を構えており、顧客の居住エリアの近くの拠点で返品商品を受け取ることで、送料を抑え、物流側の返品対応業務を分散させることができる。

富士ロジテックHDでは、物流自動化ロボットを活用した省人化倉庫も運営している。このような省人化された物流拠点で返品商品の物流対応を行うことで、業務を効率化することも可能だ。

「Narvar」や「Recustomer」のようなプラットフォームを活用したり、スクラッチ開発で返品対応の仕組みを構築できない中小規模の事業者に向けて、富士ロジテックHDのネットワークを活用し、返品対応にも応じるカスタマーセンターを低コストで開設することも支援している。

――返品を頻発する悪質な顧客もいる。その対応は?

返品があまりにも多い顧客に対してテクノロジーを活用して、「商品を売らない」ことも可能だ。購入できないような導線を提示したり、返品対応不可にしているバーゲン品だけ表示させたりすることも技術的にはできる。

あからさまに顧客を選別する施策を行う国内事業者は少ないが、海外の大手事業者はしっかりと対応しているケースが多い。国内でもリピート通販事業者などでは、悪意を持ってサンプルを買いあさる顧客を回避する技術を導入しているところもある。

――返品対応は今後、どのように進化していくだろうか?

返品対応だけではなく、不要なアイテムの買い取りや引き取り、容器の回収などを含めて、環境や社会的な意義に根差したサービスを強化する動きは強まっていくだろう。

売って終わりではなく、商品の循環を顧客に可視化することで、ブランドへのロイヤルティーを高めることができる。テクノロジーが進化し、ノウハウもたまってくると、ブランド側にとっても良い循環を作ることができ、コスト抑制の効果も期待できるだろう。

エシカルなイメージを付加価値として提供することで、購入単価の向上を狙うこともできる。「リターンテック」はさらに進化していきそうだ。


【記事内で紹介したソリューション】

・「Narvar」

https://corp.narvar.com/jp/

・「Recustomer」
https://recustomer.me/

・「SMARI」
https://smari.io/

・富士ロジテック「D2C eコマース物流フルフィルメントサービス」
https://fujilogi.net/



【吉村典也代表 プロフィール】


Innovation&Communication 吉村典也代表

製造業向けコンサルティング会社や外資系システム会社などを経て、コンサルタントとして独立。通販・Eコマース事業、CRM、フルフィルメントのWF設計・運用までを顧客視点・スタッフ視点で支援している。やずやグループが開発した通販基幹CRMシステムの外販のための導入サポート業務で出会った事業者の課題から、日本のコマースビジネスには成長の可能性、未知のカテゴリーがあると確信。1社でも多くの企業の事業をグロースさせるためのアドバイスやサポートを提供している。







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