2022.09.09

日本酒D2CのRiceWine、総額3億円の資金調達を実施 製造販売体制と採用を強化

日本酒D2CのRiceWine(ライスワイン)は9月8日、DIMENSIONをリードインベスターとして、ロッテベンチャーズ・ジャパン、横浜キャピタル、三菱UFJキャピタルから、シリーズA総額3億円の第三者割当増資を実施した。今回調達した資金は、日本酒ブランド「HINEMOS」の製造・販売体制の強化やブランドの世界展開を担う人材採用に活用する。

RiceWineは、IT業界出身という異色の経歴を持つ酒井優太氏が2018年に設立した日本酒D2C。2019年に委託醸造という方法で、時間に寄り添う日本酒「HINEMOS」をリリース。クラウドファンディングや自社ECサイト、首都圏でのポップアップなどを通じて直接消費者に商品を届けている。


▲一番人気の飲み比べセット。デザイン・コンセプトが高く評価されている

2021年には、自社で冷蔵倉庫内に酒蔵を建設するという前例のない方法で自社醸造に切り替え、通年で日本酒製造が可能な「四季醸造」を実現するなど、従来の日本酒業界とは異なる手法を次々と採用している。


▲2021年、冷蔵倉庫の中に酒蔵を建設。自社で酒蔵を所有し製造から販売までを一貫して手掛けている

「四季醸造」の結果として、設備及び従業員の通年稼働により製造ペースを3~4倍に向上できた。また、年中酒づくりが可能になったことで、消費者の声を反映させたクイックな商品づくりを実現。自社酒蔵建設以降は、クリスマスやバレンタイン、父の日など、季節イベントに合わせた商品を次々にリリースし、売上拡大に貢献している。


▲神奈川県小田原市にある酒蔵外観

伝統的な日本の食文化を象徴する日本酒だが、昨今は消費者の酒の好みの多様化による需要減少や、コロナ禍の煽りをうけ、直近では年間100軒のペースで酒蔵が廃業するなど苦戦する状況が続いている。こうした状況においてRiceWineは、後発でありながら独自のアプローチで成長を続けており、累計販売本数は15万本を突破。中国・台湾にも販売を進めている。


▲バレンタインやホワイトデーなど従来の日本酒ブランドではアプローチしづらい季節イベントに商品を投入、好評を博している

これらを可能にするRiceWineの特徴の1つは販路にある。一般的に日本酒メーカーは酒問屋をはじめとする卸や酒屋経由に流通経路が限定されている。中間流通を多く挟むため酒蔵の利益向上を図る施策は限定的で、十分な利益を確保することは難しいと言われている。一方RiceWineは、売上のうち9割以上が自社ECや商業施設でのポップアップを通じた消費者への直接販売(D2C)だ。顧客と直接つながることで細かな要望を汲み取り、自社経営の酒蔵での酒づくりに活かしているほか、積極的に消費者が好むデザインやプロダクト開発への投資が可能になっている。

このほど、DIMENSIONをリードインベスターとして、ロッテベンチャーズ・ジャパン、横浜キャピタル、三菱UFJキャピタルから、シリーズA総額3億円の第三者割当増資を実施した。調達した資金は、製造・販売体制に加え、ブランドの世界展開に向けた採用の強化に活用する。

今後は、「オンラインで購入される日本酒No.1」を目指し、ECサイトの拡充を図る。リアルでは、ポップアップストアの多店舗展開や直営店の出店を通じて「今までにない、日本酒との出会い」を生み出しすとている。さらに創業時からの想いである海外展開を本格的にスタート。現時点では数%の海外売上比率において、2025年度には50%近くを目指す。その本格展開として、自社スタッフの海外派遣や海外パートナーの開拓、海外直営店の立ち上げなどを目指いる。

今回の資金調達にあたり、RiceWine代表取締役CEO 酒井優太氏は、「日本のものづくりやプロダクトを世界に広めていくことで、未来の日本が豊かであってほしい、と願い、縁もゆかりも無い日本酒業界に飛び込んでから早4年の月日が経ちました。昨年には小田原に酒蔵を建て、製造体制に力を入れてきましたが、今回、海外により広めていくタイミングで、強力な新規投資家の方々を迎えることができ、大変ワクワクしています」と述べた。


▲ライスワイン 酒井優太CEO

昨今、世の中を見渡せば、少子化、雇用の不安定、長時間労働、感染症、国同士の争いなど、ネガティブな事象が多いとし、「HINEMOS」は「時間に寄り添う日本酒」というコンセプトで、少しでも人々の時間を豊かにしたいとの考えを示した。

「『日本酒』」という切り口で、日本発のモノづくりで未来を明るくしていきたいと思っています。直近は、アジア6カ国、中国、台湾をはじめ、シンガポール、香港、韓国、ベトナムに進出していきます。今回の調達させていただいた資金は、採用に大きく投資をしていきます。一緒に海外に広めていきましょう」とコメントした。

RECOMMEND合わせて読みたい

RELATED関連する記事

RANKING人気記事