2022.08.30

【インタビュー】ACALL 長沼斉寿社長「出社・リモートのハイブリッド時代は、社員のセルフマネジメント力を伸ばす」


企業の従業員の働き方を支援するデジタルツール「WorkstyleOS(ワークスタイルオーエス)」を提供しているACALLによると、同サービスの導入企業のデータから、「出社」と「リモートワーク」のハイブリッドな働き方を採用する企業が、すでに一般化していることが分かったという。オフィスのダウンサイジングが進んでいることから、今後、ハイブリッドな働き方がさらに定着していくと考えられるという。同社の長沼斉寿社長は、「自宅での仕事がはかどるように、なおかつオフィスにも出社したくなるように、社員のセルフマネジメント力を支援していく必要がある」と話す。長沼社長に、同社の顧客企業から見えてくる、「働き方」市場のニーズについて聞いた。

 

出社率は全業界平均で3~4割


――「WorkstyleOS」は国内で6000社が導入しています。導入企業では、働き方のニーズにどういった変化があると思いますか?

これまではコロナ禍でリモートワークが主体でしたが、2022年に入り、オフィスへの出社へと回帰するケースが増えています。ただ、フル出社に戻す企業は多くありません。出社しつつ、在宅でも仕事ができるようにする「ハイブリッド型の働き方」を採用するケースが一般化しています。全業界を平均してみると、1日あたりの、出社している社員の割合は、30~40%程度ではないでしょうか。IT系の企業では、さらにリモートワークの割合が多いと思われます。

「WorkstyleOS」の利用状況を見ると、オフィスのレイアウトを変更しているケースが目立ちます。社員の出社率を把握しつつ、オフィスのダウンサイジングを行っているのです。フリーアドレスを導入し、社員全員分のイスと机をオフィスに設置しなくなっています。オフィスにイスだけがあふれかえっているという状況が減りつつあるのです。

当社のツールの利用も活発になっています。例えば、自分でオフィスの座席を予約するホテリング機能です。オフィスに出社する理由が求められるようになった今、ホテリング機能を使うことで、社員が自ら働きやすい場所を選択でき、生産性の向上やコミュニケーションの活性化を見込めます。

 

▲チームの”誰が””どこで”仕事をしているかを可視化できる


不安を解消したい企業


――従業員の働き方について、企業はどのような課題を持っていると思いますか?

多くの企業では、社員がきちんと成果を出せる状況で働けているか、不安に感じています。不安だからこそ、社員が働いている状況を「見える化」したいのだと思います。ただ、従業員にとっては、会社から厳しく状況報告を求められると、「監視されている」と思う人もいます。離職率が高まる原因にもなります。特に、大手ほど、そういった悩みを強く持っている会社が多いでしょう。

そうした不安を解消するために、「WorkstyleOS」を導入したいという企業も少なくありません。「WorkstyleOS」を導入すると、従業員がどこで・どんな状況で働いているかを、位置情報やテキスト情報で「見える化」できます。従業員一人一人について、「何かに集中して作業をしているのか」「気軽に連絡していい状況か」なども、チーム内で「見える化」できます。

こうした機能で、従業員の行動を「見える化」することにより、企業は従業員のマネジメントにおいての不安を解消することができます。企業は、従業員の就業状況が見えないとコントロールしたくなりますが、逆に見えていると、細かく見なくてもいいと考えるケースが多いようです。 

従業員のハイブリッドワークには、“グラデーション”があります。自宅で仕事をすることもあれば、カフェやホテルなど、さまざまな“ワーケーション”で仕事をしています。どんな場所でも、従業員が自分で意欲を持って働けるよう、環境を整えてあげることが必要ではないでしょうか。


出社したくなるオフィスをつくる




――今後、社員が働く環境をどう整えてあげるのが重要でしょうか?

私は、社員のセルフマネジメント力を伸ばしてあげることが必要だと思います。自宅でもオフィスでも、自分の好きな場所で成果が出せる仕事環境を提供してあげるのが、重要ではないでしょうか。

例えば、自宅で仕事をしていると、上司や同僚とコミュニケーションもしづらいですし、孤独な状況になりがちです。「今日はオフィスに行って仕事をしよう」「今日は自宅で仕事をしよう」と、動的に考えてもらえれば、社員の健康面のケアにもつながります。

オフィスに来てもらえれば、社員同士でコミュニケーションをする機会が増え、関係性も生まれやすくなります。大事なのは、オフィスに無理やり誘導することではなく、働きやすい環境を作り、セルフマネジメント力を高めてあげることです。

 

海外でも働き方市場にリーチ


――ACALLでは今後、海外展開も積極的に行うと聞きました。

当社では現在、東南アジア諸国で、働き方改革の支援を行っており、一定の成果を生んでいます。現地の働き方支援のデジタルツールは、会議室のような「場所の予約」や、「人事評価」のどちらかに特化しているケースが多いです。「WorkstyleOS」のように、包括的な機能を備えたツールは多くありません。海外でも、スタートアップ企業を中心に、ツールの提供を進めていきます。







 

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