2022.08.17

富澤商店、AI×SNS分析のAIQと業務提携 次世代型ソーシャルコマースで売上増へ

日本最大級の製菓・製パン材料、器具専門の店販・ECを展開する富澤商店はこのほど、特許AI技術によるデータ分析を使ったーシャルメディアマーケティング支援を提供するAIQと業務提携契約を締結。今後、同社と連携し次世代型ソーシャルコマース事業の展開を開始する。デジタルシフトとデジタルコミュニケーションの変化にいち早く対応し、顧客同士の交流で購買動機を育む「新型EC」により、売り上げ向上を目指す。

創業103年の富澤商店は、産地・品質にこだわった食材を中心とした豊富なアイテムを実店舗販売、EC、卸販売を通じ、リーズナブルな適正価格で提供している。取り扱いカテゴリは、パンやお菓子の材料をはじめ、器具・道具やラッピング資材、スパイス、和菓子材料、洋食材、和食材、豆、中華、エスニックにいたるまで幅広い。

一方、AIQは、AI(人工知能)技術開発・インサイト(深層心理)マーケティング事業を展開。AI技術を利用し、Instagram運用支援ツール「Moribus Navi」やインフルエンサーマーケティングツール「Moribus Casting」などを含む「Moribus SocialMarketing Cloud」を開発し、ソーシャルメディアマーケティングを多面的にバックアップしている。

このほど両社は、業務提携契約を締結した。昨今のデジタルシフトとデジタルコミュニケーションの変化にいち早く対応し、カスタマージャーニーの変化、Cookieの終焉、LTVへの注目度の高まり、SNSでの体験価値の向上など、さまざまなマーケティング課題へ挑戦する次世代ソーシャルコマース事業を開始する。

海外(特に中国やアメリカなど)を中心に盛り上がりを見せるソーシャルコマース(又は、ライブコマース)は、近年日本でも注目されている。しかし日本におけるソーシャルコマースは、依然として“物を売ること”が前面に出ているため、SNSでのコミュニケーション特有の「興味・関心で繋がる」や「買い物の課題を解決する」は影が薄くなりがちであり、なかなか定着できないという現状がある。また、日本はアフェリエイトがそぐわない国民性だとも言われており、昨今では「検索よりもタグでたぐれ」の風潮が強くなるなど、広告色のない生活者の生の声が尊重される傾向にある。





これに対し、富澤商店とAIQによる事業では、購買の前に「合致した興味・関心による繋がり」があることを前提とし、その関係を深めたうえで納得づくで商品購入に至る、日本人の特性に合ったソーシャルコマースプラットフォームを開発・提供する。プラットフォームの効果を最大化できるように、公式アカウントやスタッフ等のSNSでの影響力を高める取り組みも推進していくとしている。

SNSから販売につなげる仕組みづくりとしては、SNSとコミュニティとECがシームレスにつながり一体化した仕組みを構築する。AIQが開発した3つのAI技術を活用し、ユーザー個人の興味・関心を分析して富澤商店に合致する潜在顧客を発掘。「誰」の「どの投稿」が購買に結びつけたかを計測してPDCAサイクルを回し、効率的な販売促進を実現する。




AIQの特許AI技術により富澤商店のSNS上のやりとりを分析。“興味・関心”の動向から満足感の高い商品にリーチする最適な購買経路を明確化することで、売り手からの「一方向のアプローチ」ではなく、生活者(消費者)同士のコミュニケーションから生じた安心感のある情報で、信頼性を伴った購買動機をはぐくむ。

「次世代ソーシャルコマース」のためのプラットフォームは、ユーザーやスタッフが集い交流するコミュニティサイト、商品レビューの投稿が可能な「Moribus Community&Commerce」、既存の富澤商店ECサイトの3つで構成され、これらが一体化している点が特長となる。

特に「Moribus Community&Commerce」は、AIQが新たに開発したシステムで、今回の事業で初の運用となる。静止画や動画など多彩な表現方法で商品レビュー(紹介)ができるほか、レビュワーへのチャット相談(デジタル接客)やレビュワーとユーザー自身の興味・関心のマッチ度をAIが判定する機能も搭載。コミュニティサイトと「Moribus Community&Commerce」により、双方向のコミュニケーションを活発化し、ユーザーの安心感を高めるほか、困りごとの相談・解決等までに対応し、納得・共感して商品を購入できる環境を整備する。

購入商品を使って家族やパートナーに料理やお菓子をふるまった等の写真や動画を披露する「体験の発信」も同プラットフォームで一元的に行うことができ、情報収集と購買に加え、豊かなライフスタイルを共有する場としても利用することができる。




顧客同士だけでなく、富澤商店の公式アカウントや商品知識が豊富な実店舗スタッフ、公式ファングループの影響力の強化も図る。富澤商店公式アカウントでは、スタッフの投稿内容やクリエイティブ機能の活用、および改善などに着手し、エンゲージメント率の向上と潜在顧客となるフォロワーの獲得を目指す。

富澤商店には、料理の知識が豊富な人材をはじめ、元パティシエ等のバックグラウンドのあるスタッフが多数在籍し、実店舗での顧客満足度の向上に寄与している。この強みをSNS上でも発信していけるよう、AIQのInstagram運用支援ツール「Moribus Navi」を活用する。さらに同ツールで、公式ファングループ「富澤ファミリー」や、公式アンバサダーグループ「富澤プレミアムファミリー」に属する人材のSNS運用スキルの向上も図る。AIQのインフルエンサーマーケティングツール「Moribus Casting」も活用し、インスタグラムユーザーから「富澤ファミリー」の候補者を発掘する等、公式ファングループの拡大も目指す考えだ。

富澤商店は、コロナ禍を機にECの販売を大きく伸ばし、会員数は2020年2月の35万人から60万人(2022年6月現在)に増加した。自社SNSの利用も活性化しており、フォロワー数は2021年12月~2022年6月で、Twitterで約10万、Instagramで約4万増加している。エンゲージメント率も大幅にアップしており、強いアカウント形成が確立されている。

富澤商店のSNSのフォロワーは、“料理をつくる楽しさによる共感”で繋がっているという点で高いロイヤリティを有しており、こうした特長をEC販売にも活かすべく、ソーシャルコマース事業に注目。事業のパートナーとして、AI技術による独創的なソーシャルメディアマーケティング支援サービスを提供するAIQを選んだとしている。

AIQは、SNS上のユーザープロファイルを可視化できる特許取得済みのAI技術、Instagram運用支援ツール「Moribus Navi」や、インフルエンサーマーケティングツール「Moribus Casting」を開発・提供。個人で活動するインフルエンサーの経済的自立を支援するソーシャルコマースプラットフォームの構築も計画している。その技術は、商品知識が豊富な熱量の高い富澤商店の実店舗のスタッフや、富澤商店の商品にまつわる共感力の高いSNSフォロワーをインフルエンサーのように活かせる親和性もあり、富澤商店が目指す「人同士のコミュニケーションで自然な販売に繋げるプラットフォーム」の開発に最適な相性だと確信し、提携に至ったとしている。

富澤商店は、次世代ソーシャルコマース事業の推進により、ソーシャルメディアによる人と人の「興味・関心」の繋がりからLTVの高い潜在・顕在顧客を獲得し、EC売上高対前年比10%増を目指すとしている。さらに、日本のソーシャルコマース市場活性化を牽引していく考えを示した。




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