生活用品やアパレルのECサイト「北欧、暮らしの道具店」を運営するクラシコムは8月5日、東京証券取引所グロース市場に新規上場(IPO)した。初値の騰落率は7.04%増と、IPO市場が冷え込む中でも着実に評価を集めている。
クラシコムの2021年7月期の売上高は、前期比30.5%増の45億3200万円だった。ECに留まらず、記事や音声メディア、ドキュメンタリー、ドラマなど独自の世界観のコンテンツを発信している。サイトの会員やSNSのフォロワーの総計であるエンゲージメントアカウント数は430万もある。
▲上場会見で事業説明を行うクラシコムの青木耕平社長(左)と佐藤友子取締役(右)クラシコムの青木耕平社長は、「さまざまなチャネルを通じて、われわれの世界観を好んでいただける未来のお客さまに向けてコンテンツを配信している。このコンテンツを継続的に受け取りたいと思っていただける方を増やし、SNSであればフォロー、アプリであればダウンロード、YouTubeであればチャンネル登録といった形で継続的にコンテンツを受け取るパーミッションパーミッション(許可)を得ている。そして継続的にコンテンツを送ることで、顧客になっていただいている」と事業の強みを伝えた。
▲「北欧、暮らしの道具店」のサイトイメージ強みの源泉であるコンテンツは、ほとんどを内製化している。魅力的なコンテンツを生み出し続けている要因は人材にあるという。
「経験者を集めてクリエイティブを制作しているのではなく、ポテンシャル採用をして、社内で教育し、コンテンツを作っているところに強みがある。価値観や美意識で共感できる人材を集め、ノウハウを投入し、われわれの世界観を支えるクリエイターを育てていく体制をこれからも重視していく」(青木社長)と話す。
▲クラシコムのオフィス今後のコンテンツの展望については、「映画やドラマ、アニメーション、音楽など代表的なコンテンツパッケージで全く触ったことがないというくらい、さまざまなものを作ってきた。これまでやってこなかったのは、ゲームくらいかもしれない。これからもお客さまに驚きをもって受け取っていただけるコンテンツを模索していきたい」(同)と語る。
2022年7月期の売上高は、同13.6%増の51億4900万円を計画している。今後もコンテンツ発信力を高めるとともに、商品やサービスに磨きをかけることで継続的な成長を目指している。