2022.08.09

【データに見る「ECの地殻変動」】<第5回>ECでサステナビリティを実現する3つの方法

店舗よりECが優位?


業種を問わずサステナビリティが重要な時代となっている。EC業界とて例外ではない。宅配便の車両が街中を走り回る光景を見れば、EC業界は余計にCO2を排出しているのではと気になる。だが実店舗も相応の物流は発生しており店内のエネルギー消費量もそれなりだろう。ECと実店舗でCO2排出量を比較しようとすれば、膨大なパラメーターが頭をよぎる。果たしてどちらがサステナブルか、その比較は容易ではなさそうだ。

ずっとそう思っていたら、つい最近、イタリアのミラノ工科大学の研究者によるECと実店舗のCO2排出量比較に関する興味深い研究論文を見つけた。

2020年発表の同論文ではファッション、家電、書籍、グロサリーの4分野について1購買当たりのCO2排出量(kg)を比較している。

ファッション3.93対4.60、家電3.03対4.31、書籍3.12対4.41、グロサリー7.34対8.66。いずれもECの方が実店舗よりもCO2排出量が少ない。





また、ファッションとグロサリーを同時に購入するケースなど、複数の組み合わせでの比較もあり、組み合わせ内容によって優劣が分かれた結果となっている。

研究者本人に直接聞かないと分からないが、ECの方がサステナナブルだと言いたいように筆者は感じた。ただ使用しているパラメーターや前提条件等の詳細が明かされていないため、ECに軍配を上げるには他の同類の研究成果も見てみたいところだ。

とはいえこのような研究が行われ、ECのサステナビリティが定量的に示されていることは画期的と考える。論文を一通り読み終えた後、EC業界に携わる者として何だか元気をもらった気がした。

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