2022.07.25

【寝具のサブスク提供の狙いを聞く】西川、『モノのサブスク』でモノにコトをつないで新たな顧客層を開拓


寝具販売大手の西川は2021年9月、サブスクリプション(サブスク)形式で寝具を提供するサービス「Sleep Charge(スリープ チャージ)」の提供を開始した。モノを取り扱うサブスクサービスは、デジタルサービスと違い、商品の発送や引き取り、交換などのプロセスが発生することから、さまざまなハードルを越えなければならない。西川は、サブスクサービスのシステム構築に取り組みながらも、ビジネスモデルを固定することなく、常に最適化を追求している。その変化を続けるサブスクサービスの要件に対して柔軟に対応したのが、「GMOクラウドEC パッケージEC」プランだったという。第5営業部 自社直営グループ 第2課の横田拓之課長、武士朋之チーフ、藤田洋一氏、民敏幸氏にサービス提供の狙いやこだわりについて聞いた。


購入に至るまでのハードルをサブスクで乗り越える


―― サブスクサービス「Sleep Charge」への取り組みにおける背景について教えてください。

横田:「Sleep Charge」の最大の魅力は、購入を決める前に、ご自宅で[エアー] マットレスや羽毛掛け布団を体験できるところにあります。実店舗でもその場で寝心地をお試しいただくことはできますが、日常生活で使ってみないと効果まではなかなか実感できません。[エアー] マットレスをご購入いただいた方の使用満足度は高いのですが、新規のお客様が購入に至るまでのハードルをいかに乗り越えるかがビジネスとしての課題でした。



そこで検討したのがサブスクです。サブスクを用意すれば、商品をお試しいただいた後にご購入いただくなど、顧客の選択自由度が高まるため、今までのユーザー様層に加えて、サブスクに慣れている年齢層、特に若い世代へのアプローチにつながると考えました。


▲横田拓之課長

武士:サービスのスタート後に驚いたのが、複数商品を試してから購入に至るケースが多いことでした。それだけ睡眠へのこだわりを持つお客様が増えていることの証だと思います。製品の良さをアピールするには、サブスクというアプローチは最適だと実感しました。


サブスクがモノとコトを結ぶ大きなキッカケに


―― 創業が1566年で室町時代に近江の行商から始まっているという伝統をお持ちですから、サブスクのような新しいビジネスモデルは大きなチャレンジだったのではないでしょうか。

横田:当社の事業主体は寝具・寝装品の卸売業です。一般消費者を対象としたBtoCビジネスでは、都内を中心として運営している直営店舗のほか、オンライン上の自社直営ECがあげられますが、そのEC事業も2018年に立ち上げたばかりです。時代に取り残されないために、会社がサブスクに目を向けたのは順当な流れでした。

武士:実際に「サブスクリプション」事業を検討し始めたのは2019年の2月のことです。当時は「サブスクリプション」や「サブスク」という言葉は今ほど一般的ではありませんでした。しかし、ビジネスの上流設計をブラッシュアップさせるたびに、サブスクビジネスの可能性に広がりを感じましたね。特にモノづくりを重視してきた会社ですから、サブスクにチャレンジすることがモノとコトを結びつける大きなキッカケになったと思います。


▲武士朋之チーフ

――モノのサブスクではビジネスモデルがとても重要になります。「Sleep Charge」のビジネスモデルについて教えてください。

武士:今回検討したサブスクモデルのポイントは、「お試しコース」をご用意したところにあります。リユース品の[エアー] マットレスを、商品発送日から14日間、お試しいただくというものです。お試ししていただいた結果、効果を感じて新品をサブスクで使用したい場合は「新品コース」、リユース品をサブスクで継続したい場合は「お手頃コース」に切り替える選択をしていただきます。さらに、新品の購入も選択できるのですが、こうした「新品コース」「お手頃コース」「新品購入」を選択していただいた場合は、お試しコースの代金が実質無料になります。

ちなみに、14日間の間に何も操作しない場合は、自動的に「お手頃コース」に契約が移行したうえで、お手元の商品を継続利用していただけるのですが、開発面ではこの設計が一番難しかったと思います。

あたりまえですが、「お試しコース」を終了して返却することもできますし、「お試しコース」を経由しないで、いきなり「新品コース」や「お手頃コース」をご利用いただくこともできます。

――単なるサブスクではなく、研究を重ねに重ねたビジネスモデルなのだと感じます。

:実は当初、寝具一式をサブスクで提供するという単純なビジネスモデルで進めていました。とはいえ、新しい取り組みですから、何が最適かを妥協することなく検討していった結果、[エアー] マットレスの効果をいかにアピールするかを追求したモデルにたどり着いたのです。



――その当初の段階でご採用いただいたのが「GMOクラウドEC パッケージEC」プランでした。

:衣料品関連のサブスクで実績をお持ちだったことと、定期課金を標準装備していること、それからカスタマイズに柔軟に対応できるという点が決め手となりました。将来にわたってビジネスのスケーラビリティ面から安心してお付き合いできるのではないかと。実際、ビジネスモデルを見直していくなかで既に仕様の変更が出ていますが、柔軟に対応していただいております。

藤田:サービスリリース以降もさらなる顧客体験の向上を目指して改修を重ね続けております。プロジェクトメンバーの皆さんには、これは無理かなと思える要求をしたこともありましたが、システムベンダーとしての領域を超え、私たちの課題解決に親身になって対応をしていただきました。当社の描いたサブスクビジネスを実現できたのは、プロジェクトメンバー全員の誠意のおかげだと思っています。


▲藤田洋一氏

RECOMMEND合わせて読みたい

RELATED関連する記事

RANKING人気記事