2022.07.15

【化粧品・サプリのメルカリ転売が急増中】月間被害額3倍の化粧品メーカーも IPアドレス変えて不正アクセス

メルカリを使った不正転売が急増中

健康食品や化粧品のEC各社では、メルカリを利用した商品転売による被害に頭を悩ませている。年商数十億円規模の化粧品メーカーA社では、今年の5月ごろから、メルカリを使った転売による月間の被害額が、前月比で2~3倍に増加するようになったという。別の中堅健康食品メーカーでは、昨年末ごろに、メルカリを使った転売の被害が一時的に急増したとしている。メルカリでは、「不正利用が疑われる利用者の利用制限措置を行っている」と言うが、違法品転売の問題は収束していない。「不正購入者は、IPアドレスを都度変えて注文してくる」(A社執行役員)などとしており、不正の手口は巧妙化が進んでいるようだ。


「初回限定」で被害


メルカリを利用した、健康食品や化粧品の転売は、多くのEC企業が頭を悩ませている問題だ。初回を割安で販売する、EC会社の定期購入の仕組みを悪用し、転売による利ざやを得ようとする。

悪意ある第三者は、狙った定期購入商品の写真を無断で使用し、在庫がない状態でメルカリに商品を出品する。メルカリで注文が入ると、メルカリの注文者の住所と名前を利用し、商品の本サイトで定期購入の契約をするのだという。商品がメルカリの注文者に届いた段階で、定期購入を解約するという手口が一般的だそうだ。不正者は、メルカリで売れた料金から、定期購入契約時に支払う初回割安料金を差し引いた額を手に入れる。

メルカリでは、こうした不正出品と不正購入の実態について把握しており、利用者に向けて注意喚起を行っているという。「トラブルの件数や金額はさらなる違反を助長するため回答を控える。現在メルカリでは、専門のスタッフとシステムを組み合わせ、24時間365日体制のモニタリング監視を実施している。不正利用が疑われる利用者の利用制限措置を行っている」(メルカリPRグループ)としている。


特定できない不正者



メルカリを利用した不正購入は、EC企業が不正を行った人を特定しづらい点に悪質性がある。メルカリの注文者の名前をかたって注文するため、EC企業にとっては毎回違う人が注文するように見えるのだ。

商品を受け取った人には、メルカリで購入した商品が通販会社から届くことになる。こうした点を不審に思い、申し出る人もいるが、申し出をしない人もいるという。

不正購入の検知サービスを提供するかっこによると、不正検知システムを導入すれば、不正購入のある程度の特定は可能だという。「不正検知のシステムを入れれば、複数の別の住所を入力している特定の端末を検知することはできる。IPアドレスをもとに、以前入力したのと別の住所を入力している注文者を見つけることも、設定によっては可能だ」(中生緑カスタマーサクセスディビジョン ディビジョンマネージャー)と話す。

前出のA社の執行役員は、「最近では、海外のサーバーを使ってIPアドレスを変えて注文し、不正検知の抜け穴をついてくる不正購入者もいる。なんとか撲滅したい」と話している。




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