――この1年間で強化した機能やサービスは?吉田:自社ECサイトだけではなく、ECモールなどのチャネルも統合的に支援できる体制が整ってきた。大手企業さまのECモール店も運営できる。
自社ECサイトとモールを別のチームで運営するケースは多いが、当社ではまとめて支援することを提案している。デジタルの構造上、自社ECサイトで配信した広告で、モール店の売り上げが上がるといったこともある。最適解を目指すならまとめて支援する方が効果的だ。
――D2Cでも新規獲得コストが上がっていると思うが、その対策は?花岡:デジタルマーケティング市場では、出稿する人が増えており、広告の単価は確かに高騰している。広告の規制も強くなっている。
一方でグレーな広告が出せなくなったことで、本質的なマーケティングを展開しているブランドの方が成長しやすくなっている。テクニックも常にアップデートされているので、しっかりと最先端の手法を駆使しているブランドは、新規顧客を伸ばしている。マーケティングがシンプルではなくなっていく中で、成功している企業のノウハウを熟知しているので、そのノウハウを生かした支援ができている。
――導入が増えている商品カテゴリーは?吉田:かつては化粧品や健康食品など単品通販と呼ばれる売り方のブランドで導入されることが多かった。最近ではアパレルや食品などのブランドを持つ企業さまに導入されるケースが増えている。アパレル企業さまがよく採用しているような、モール型のショップをノーコードで作れる機能も提供している。
▲アカウントエグゼキューショングループ グループマネージャー 吉田光氏――SKUの多いアパレルなどのマーケティング支援もできるのか?花岡:SKUが多いと、どの商品を広告で訴求すればいいか分からないという課題がある。そんなときに、われわれは「ヒーロー商品」と呼んでいるが、一つプロモーションしやすい商品を作ってもらい、その商品のランディングページ(LP)を作る。「ヒーロー商品」をデジタルマーケティングで露出を高め、新規顧客を獲得する。SKUがたくさんあるので、獲得した顧客に対してCRM施策を展開することで、新たな商品の購入も促しやすい。
SKUが多い企業の方がLTVを高めやすいという利点がある。単品通販の企業では、顧客獲得に1万円までしか出せない場合でも、SKUの多い企業が高いLTVを実現できるのであれば、顧客獲得に1万2000円をかけられる。そうすると獲得単価の差でSKUが多い企業の方が有利になるケースもある。マーケティングのうまい企業は、すでにこのような戦略を取っている。