平均視聴時間が5分を超えるブランドも
商品の魅力を伝える動画でよく目にするのは、店舗スタッフの着こなしを見せる動画だ。これまで画像で配信していたスタイリングコンテンツが、徐々に動画も織り交ぜて配信するブランドが増えている。
ブランドによっては、ただ着こなしを動画で見せるだけではなく、シーズンのトレンドや商品の特徴を解説する動画を配信しているケースもある。「visumo」などを活用し、動画コンテンツと商品データをひも付けることで、動画から商品詳細ページに飛ぶことができたり、商品詳細ページ内で関連動画を配信したりできるようにしている。
▲バロックジャパンリミテッドはECサイトで見せ方を工夫した動画も配信visumoの井上取締役は、「かつてはECサイトで動画を配信しても、なかなか再生ボタンを押してもらえないという課題がありました。それが今では、動画を閲覧してもらうハードルがかなり低くなっています。ユーザーは動画で情報収集するのが当たり前になっており、ECサイト上でも『動画があるなら見てから買おう』という感覚が根付いています。あるブランドはユーザーの平均動画視聴時間が5分を超えており、しっかりと閲覧されている手応えを感じています」と話す。
「専門性」「発信力」で商品紹介の一歩先へ
バックパックブランド「Gregory(グレゴリー)」はECサイトにおいて、スタッフが商品を詳細に解説する動画を配信している。サイズ調整の機能性や軽量化のための構造などを紹介することで、商品の持つ特性を専門的に解説している。テキストや画像だけでは伝えきれない細部を解説することで、ECサイトで購入を検討しているユーザーの背中を押すことができている。
▲「Gregory」では動画で商品の細部を解説ワークマンはアンバサダーとなっているYouTuberが商品を解説する動画などをECサイト上で配信している。同社ではフィッシングやキャンプ、バイクなどの分野に通じており、さらにワークマン愛にあふれているインフルエンサーをアンバサダーとして起用している。そのためアンバサダーの動画は、それぞれの得意領域において商品を活用するための示唆に富んでおり、YouTuberやインフルエンサーとして情報発信のスキルも高いため、商品の魅力が充分に伝わる動画となっている。
ワークマンはアンバサダーとの商品の共同開発も手掛けている。アンバサダーは商品発売前から、自身がこだわったポイントや、商品の他にはない特徴を動画で発信するため、発売時には大きな話題を集めている。発信力のあるアンバサダーとコンテンツを作成することで、顧客獲得のためのマーケティングと、ECサイトの来訪者のコンバージョン率(転換率)を高めるコンテンツ施策を一気に達成できている。
▲ワークマンは商品を共同開発したアンバサダーの動画を商品紹介に活用ユーザーの動画視聴意向が高まり、動画を配信するためのツールも充実してきている。EC事業者にとって、動画を活用しやすい環境が整ってきている。
visumoの井上取締役は、「大事なのは『他社がやっているから』ということではなく、『自分たちのブランドや商品を動画で伝えた方がいいのか』『顧客と動画でコミュニケーションを図った方がいいのか』を考えることだと思います。その問いの答えが『イエス』であるなら動画活用に取り組むべきでしょう」と話す。
インスタグラムやYouTube、TikTokなど動画を配信できるプラットフォームが増える中で、EC事業者は動画を外部に配信していくだけでなく、ECサイトにおける接客手法として動画を活用する時代に突入した。ブランドが動画を武器として使いこなせるようになると、ECサイトはもっと買いやすく、楽しくなるだろう。多くのユーザーがブランドからの発信を待っているはずだ。
【到来!ビジュアルコマースの時代】第4回 肝心の商品説明に落とし穴?!商品詳細でデジタル接客実現へ<<
https://netkeizai.com/articles/detail/6161
<取材協力>
「visumo」https://visumo.asia/「visumo」への問い合わせhttps://visumo.asia/contact