【ECソリューションマップ2022「ECサイト構築サービス編」特集】
ECサイト構築サービス「SI Web Shopping」を提供するシステムインテグレータは5月、アドビのECプラットフォーム「Adobe Commerce」のソリューションパートナー契約を結んだ。システムインテグレータはECサイト構築ベンダーとして、設計時の提案やノウハウに強みを持ち、高い技術力で顧客が求めるサイト作りを手掛けてきた。中堅から大規模なものまで1100サイト以上に採用された実績を持つ。「Adobe Commerce」は拡張性や柔軟性に優れているほか、オープンソースであるため、カスタマイズを得意とするシステムインテグレータとの相性も良い。システムインテグレータのマーケティング部 佐藤嘉彦部長とアドビの今井徹シニアマネージャーに話を聞いた。
ーー契約の経緯について知りたい。
佐藤：当社は、大規模ECサイト構築を中心に、既存システム・サービスとの連携に重点をおいたシステムや決済や会員管理などのEC要素を持ちながらも、通常のECパッケージソフトでは実現が難しいWebサービスの構築などもやってきた。昨今各社が行っているD2Cの展開にも対応している。コロナ禍でEC市場が拡大する中、当社への問い合わせも増加。コロナ前に比べて10倍近く増えた。問合せの中には、DXの文脈からBtoBサイトの新規構築や新しいデジタルチャネルの開拓のためにクイックに、かつ、段階的な拡張を視野にEC事業を立ち上げたいニーズが多くあった。当社のパッケージソフトを利用した提案もあるが、これら多様化するニーズを解決するソリューションを探していく中で、2021年春頃にアドビさんに声をかけた。
今井：当社へ問い合わせが来たときは、正直「同じコマースのメーカーがなんだろう」という感じだった。しかし、システムインテグレータさんから声がかかる前から、日本市場においてコマース領域を拡大していくこと、特に開発パートナーの拡大が課題としてあった。「Adobe Commerce」は、オープンソースのECアプリケーション「Magento」を買収して、2021年に「Adobe Commerce」としてブランドを統一している。「Magento」を知っている人は少なく、海外製ということやMagento社に日本法人がなかったこともあり、日本での開拓が進んでいなかった。こうした状況でもあったため、システムインテグレータさんから声がけをいただいたことは当社としても嬉しい限りだ。
ーー「Adobe Commerce」の強みとは？
今井：多種多様な業種業態に対応できるところや、柔軟性と拡張性に強みを持つ。豊富な標準機能だけでなく、ECサイトの運営に必要な環境をオールインワンで提供できる。拡張機能をクイックに実装できるExtensionは4000を超える。デザイン性の高いCMSも標準装備。エンジニアでなくともコンテンツ運用でき、EC領域の成長をどんどん加速できる。柔軟性や拡張性に優れていることから、企業の要望に多様に対応でき、BtoCとBtoBの両方を全く同一のプラットフォーム上にて展開できることもメリットだ。オープンソースであるため、コマースのコアな部分の実装を理解しながらカスタマイズできる点も大きい。
佐藤：オープンソースという点は、当社にとっても大きなポイント。当社は顧客の要望に合わせて設計、開発をすることが強みである。他社のソリューションを単に販売するだけでは当社がお客さまに提供できるメリットはない。要望に合わせるということは、ソースも書き換える必要もあるからだ。結果、当社も責任を持って顧客の要望に応えられる。今井さんが話していたように、「Adobe Commerce」にはたくさんの機能が標準で付いている。当社は日本で最古のECサイト構築ベンダーとして知見やノウハウがあり、サイト構築における開発能力にも長けている自信がある。EC業界を取り巻く規制や業務要件、サービス要望に対して提案できるため、日本市場に合わせたローカライズの提案ができるということだ。
ーー「Adobe Commerce」の問い合わせ状況は？
今井：ありがたいことに、システムインテグレータさん経由で、たくさんの問い合わせが来ている。
佐藤：「SI Web Shopping」の問い合わせが増加している中で、「Adobe Commerce」による対応が良い場合はそちらで話を進めている。
