2022.05.26

【越境EC売上40億円の秘訣は?】ICHIGO 近本あゆみ社長「外国人マーケッターが活躍、海外顧客が好む商品を開発」


日本の菓子をサブスクリプション(サブスク=定期購入)で販売するICHIGO(イチゴ)の業績が順調に推移している。今期(2022年7月期)のEC売上高は、40億円に到達する見通し。社内に外国人マーケッターを置くことで、海外顧客が好む商品を開発している。同社の近本あゆみ社長に、越境ECの販売戦略や円安などの影響について聞いた。


6つの越境ECサービスを提供


――菓子の通販企業で越境ECを行っているのは珍しい。その中でも貴社は、6つの越境ECサービスを手掛けている。

確かに珍しいかもしれない。「KITKAT(キットカット)」など日本で有名な菓子を集めた「Tokyo Treat(トウキョウトリート)」や、地方で人気の銘菓を詰め合わせた「Sakuraco(サクラコ)」、日本化粧品と韓国化粧品を詰め合わせた「nomakenolife(ノーメークノーライフ)」などを手掛けている。

さまざまなジャンルの商品を取り扱うことで、いろいろな消費者へ商品を届けられると考えている。日本の文化を世界に発信することをテーマに事業を行い、現在、日本を除く180の国と地域に商品を届けている。

――どのサービスの売り上げが多いのか?

今期(2022年7月期)のEC売上高は40億円に到達するとみている。増減率や売上比率は伝えられないが、今期も前期を超える増収を続けている。

売上比率は、「トウキョウトリート」が最も多い。その次に「サクラコ」が続いている状況だ。やはり日本の菓子を好む海外顧客が多いことと、「トウキョウトリート」は有名菓子を詰め合わせているので、人気があると考えている。


外国人スタッフを活用


――売り上げを伸ばしている方法を聞きたい。

「トウキョウトリート」は、有名菓子を詰め合わせているため人気があると言ったが、商品の知名度に頼っているわけではない。特に商品選定には、会社全体で力を入れている。

当社は10人の外国人マーケッターを雇っている。外国人マーケッターがいることで、より海外顧客が好む商品を開発できている。日本だとピンとこないかもしれないが、海外で手に入りにくい日本の菓子を海外顧客向けに販売している。

例を挙げると、地域限定の商品。飲料水のファンタもグレープ味やオレンジ味は海外でも販売されているが、沖縄のシークワーサー味はない可能性が高い。海外にはない商品、海外顧客が好む商品は何かを、外国人マーケッターが時間をかけて判断している。

――新規顧客に知ってもらうための施策は何を行っているのか?

主にインターネット広告とインフルエンサーマーケティングに力を注いでいる。実はインターネット広告も外国人を有効的に活用している。当社には外国人マーケッターのほかに、外国人デザイナーが存在する。そのデザイナーが外国人に見られやすい広告を制作している。

日本と外国では、広告の訴求ポイントが異なる。日本のスーパーストアのポップやECモールの広告は、字が多い。産地・生産者・商品のこだわりなど、情報量が多くなりがちだ。この内容では海外では売れない。海外では、「スッキリ」「写真訴求」が重要になってくる。

海外ではよく見られる、「1個買ったらもう1個おまけを付ける」ことを意味する「Buy one Get one Free(バイワンゲットワンフリー)」のように、海外の人が購入をためらわない動線作りも重要だ。海外で取り入れられていない広告訴求をしても、あまり意味はない。このことを知るためにも、外国人を雇うのはメリットがある。

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