コロナ禍を経て、消費者の生活にECが定着する中、購入者に商品を届ける最後の到着点「ラストワンマイル」が進化している。フードデリバリーなど配送網の拡充により、ECでも商品のスピード配送が“当たり前”になるかもしれない。ダークストア(倉庫型店舗)から商品を配達するクイックコマースだけではなく、EC事業者が戦略的に都市部の拠点から商品をクイックデリバリーで届けるサービスが普及するかもしれない。EC事業者のクイックデリバリーを実現するための支援サービスも登場している。
コロナ禍に一気に普及したサービスの一つが、「Uber Eats」や「出前館」などのフードデリバリーサービスだ。飲食店の自前の配送網や、外部の配送会社、個人の配達員を活用して、飲食店から30分~1時間程度で商品を配達できるサービスを構築したことで、多くの利用者を獲得した。
フードデリバリーの物販版といえるクイックコマースも徐々に拡大している。店頭販売に対応しないダークストアから商品を近隣エリアに迅速に配送し、消費者のニーズに応えている。
国内で急速に拠点を拡大していたドイツ資本の「pandamart」こそ日本市場から撤退したものの、ヤフーやアスクル、出前館などZホールディングスグループが連携してサービスを提供する「ヤフーマート」などがサービスを拡大している。
▲「ヤフーマート」はサービスを拡大現在はダークストアで保管するアスクルの商品を出前館の配達網で届けるサービスだが、将来的にヤフーのECモールに出店する店舗の商品を取り扱う可能性もある。
アマゾンは当日便強化、楽天はUberと提携
ヤフー以外の大手ECモールもスピード配送サービスを強化している。
Amazonは昨年11月、有料会員サービス「プライム会員」向けの当日配送サービス「当日便」を強化した。対象商品を東京21区の会員向けに注文から数時間で配達している。
楽天グループは今年4月、Uber Eats Japanとサービス連携を開始すると発表した。まずはIDや決済の連携から開始し、連携を深めていくという。将来的にクイックコマースを共同展開する可能性も否定はしなかった。