2022.05.20

【データに見る「ECの地殻変動」】<第3回>商品カテゴリー別のEC化率を正しく分析する方法


市場の構造・規模もEC化率に影響


相違要因には流通構造も影響を与えていると見る。前回のコラムで日本の小売拠点数が99万246と紹介したが、うちアパレルは14万465、食料品は29万9120と多く(出所:経済センサス)、実店舗の存在は多くの消費者にとって便利だろう。

化粧品の場合、リアルチャネルでも百貨店、専門店、ドラッグストア、コンビニ、訪販と多彩であり、EC対リアルという単純な構図ではない。

また、他の要因にはEC化率の分母、つまり商取引市場規模の大きさの相違もある。主要政府統計を用いて算出した食品EC化率の分母は、60兆円以上と巨大な一方、家電・PCなどは6兆円強、書籍、映像・音楽ソフトは4兆円弱と食品に比べれば格段に小さい。分母の違いはシンプルにEC化率に直結する。

さらに細かい相違要因には価格特性、在庫リスクの大小が挙げられる。商材によっては法規制などによりECが容易ではないものや、そもそもECには不向きという商品もある。

要するに、商品カテゴリーごとに事情が異なるため、全てが入り混じった全体値としてのEC化率は目安に過ぎないということだ。

無論特定の商品カテゴリーに特化する事業者の方は個別のEC化率に注視し、自社のEC化率との対比や競合他社との比較を行っているだろう。

私からの提言として、他の商品カテゴリーのEC化率や他業種の個別企業のEC化率も同時に参照いただき、上述の視点だけでなく独自の視点も交えて、多面的に自社のEC化率を考察頂ければと思う。それにより新たな発見があることを期待したい。







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