2022.05.20

【データに見る「ECの地殻変動」】<第3回>商品カテゴリー別のEC化率を正しく分析する方法

2020年のEC化率は8.08%。至るところでこの数値が取り上げられており、その数の多さから多くの方々が強い関心を寄せていることが分かる。しかし、この数値はあくまでも全体値であり、すなわち商品カテゴリーを超越した値である。

事業者にとって重要なのは商品カテゴリーごとのEC化率であり、全体値は目安程度にとどめておくことが望ましい。理由は商品カテゴリーごとにEC化率は大きく相違しており、全体値からはECの本質が見えないためだ。

2020年のカテゴリーごとのEC化率を見てみよう。「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」は37.45%、「書籍、映像・音楽ソフト」は42.97%と高めだが、「食品、飲料、酒類」は3.32%、「化粧品、医薬品」は6.72%と低い。




「財の特性」で分類


この違いを「財の特性」の相違で捉えてみると面白い。財は、①事前に調べれば内容や特性を理解できる「探索財」 ②利用して初めて品質価値が分かる「経験財」 ③利用経験を経ても品質評価が難しい「信用財」――3種に分類できる。ネットでの事前検索で内容や特性が理解できる点で探索財はEC向きである。

例えば、家電やPCは仕様が明確なので探索財。書籍も書評があるという点で探索財といえ、かなり早い時期からネット販売が盛んだ。よってEC化率は高い。

一方、食品は経験財の代表格。化粧品も試してみないと肌に合っているか分からないため、経験財だといえる。

一部の医薬品やサプリメントは効果の実感の点で信用財的側面が強いだろう。価格次第だがネットで調べて即買いすることに慎重な人も多いのではないか。財の特性で全てを説明づけるのは難しいが、相違要因を分析する一視点として有効と思う。

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