2022.04.25

肝心の商品説明に落とし穴?!商品詳細でデジタル接客実現へ【ビジュアルコマースの時代<第4回>】

到来!ビジュアルコマースの時代~「デジタル接客力」最新強化術~
<第4回>肝心の商品説明に落とし穴?!商品詳細でデジタル接客実現へ


メーカーや小売企業がコロナ禍にDXを推進する中で、ECサイトのコンテンツを強化している。スタッフコーディネート(コーデ)画像やUGC(ユーザー生成コンテンツ)を掲載し、商品の魅力を伝える動画まで配信しているECサイトでも、商品紹介の肝と言える商品説明のクオリティーが低いままというケースが少なくない。商品の特徴や魅力を伝えるための商品説明が‟イマイチ”では、周辺コンテンツを拡充しても効果を発揮できず、本末転倒だ。一方、商品説明をビジュアル化し、効果的に魅力を伝えている企業も増えている。商品詳細ページで接客しているかのような成功事例や、運用のポイントについて探る。



魅力を訴求する「商品説明」が進化していない?!


コンテンツ力に定評がある「北欧、暮らしの道具店」の商品詳細ページは、バイヤーから対面で商品の魅力を教えてもらっているような感覚になるぐらい分かりやすい。


▲「北欧、暮らしの道具店」の商品説明の一例

バイヤーが商品のメリットや利用シーンを語りかけるように紹介している。平易なテキストに画像が差し込まれ、コラムを読んでいるようにスラスラと情報が頭に入り、自然と商品の魅力を理解することができる。

このように商品詳細ページの「商品説明」をしっかりと作り込んでいるECサイトはまだまだ少ないと言えるだろう。単品通販、D2Cブランドなど長いランディングページ(LP)で商品情報をさまざまな角度から説明するケースはあるが、型番商品が中心の小売店舗や一般的なメーカーのECサイトの商品詳細ページは最低限の情報しか載っていない。実店舗がメインのSPA(製造小売)企業も、スタッフコーデやUGCなどコンテンツは拡充していても、商品説明に関してはそれほど作り込んでいないケースが多い。

ビジュアルマーケティングツール「visumo」を提供するvisumoの井上純取締役は、「コロナ前であれば、実店舗で商品を確認したユーザーがECで買い物するケースが多く、ECサイトではシンプルな商品説明でも買ってもらうことができたと思います。コロナ禍になり、ECサイトで新規顧客を掴まえていこうとすると、状況は変わります。商品詳細ページでしっかりと商品の情報や魅力を伝えることができないと、ユーザーに『買いたい』と思わせることはできません。商品を理解していないユーザーがいきなりスタッフコーデやレビューだけを見ることはほとんどないはずです。『この商品はどんな商品なのか?』といった基本的な情報から訴求力を高めていく必要があると思います」と話す。

商品選びや利用シーンの提案に役立つスタッフコーデやUGCが進化している一方で、商品訴求においてもっとも重要だといえる「商品説明コンテンツ」が進化できていない現状があるようだ。


ECならではの顧客体験が課題に


複数のブランドを横断的に扱うアパレルECサイトなどでは、同じような見た目の商品の違いが分かりにくいという課題も生じている。同じような見た目でも素材やディテール、製法などが違うはずなのに、ECサイトでは情報量が少なく、「なぜこの商品とこの商品はこんなに価格差があるのだろう」とユーザーを困惑させる事態に陥っている。


▲価格差を納得させるだけの情報が掲載されていないケースも(写真はイメージ)

visumoの井上取締役は、「同じような見た目のアイテムが並ぶのはECサイトならではの顧客体験です。実店舗であればブランドごとに店舗が分かれているケースが多いので、1つの店舗に同じようなアイテムがそもそも存在していなかったり、同じようなアイテムがあっても店員さんが違いを説明してくれます。ECサイトの検索ページで同じようなアイテムが並んだ場合、商品詳細ページでその違いが伝わる情報がなければ、高いけど価値のある商品が買われる可能性はほとんどなくなります」と話す。

ブランドを理解していたり、少ない情報から商品の違いを把握できたりする上級者でしか、買い物が上手くできないECサイトでは、新規顧客の獲得を促進するのは難しい。

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