2022.03.29

増加するランサムウェアの脅威、徹底したクラウド思考で立ち向かう<Wasabi Technologies デビッド・フレンドCEO>

2021年はランサムウェアの被害が最悪に


ボトムレスクラウドへのメリット


ランサムウェア攻撃によるダウンタイム(サービス停止期間)のコストは昨年、ほぼ倍増しました。できるだけ早く復旧させることが、企業にとって重要になっています。柔軟なクラウドバックアップオプションへのアクセスができるようになると、次のことが可能になります。

オブジェクトレベルの不変性:クラウドは完璧ではなく、ランサムウェアの標的になる可能性があります。データ保護の追加レイヤーとして、クラウドプロバイダーのイミュータブル(不変)ストレージを利用することは、多くの組織にとって最善の方法です。イミュータブルストレージでは、一定期間、システム管理者を含む人間によって、データが改ざん(暗号化)されないようにします。また、ボトムレスクラウドでは、イミュータブルバックアップのオプションをより柔軟に利用できます。例えば、イミュータブルバックアップのセットを一つ持つ一方で、引き続きアクセス可能な別のセットを持つことができます。 

分散化:ランサムウェアから守るためには、「分散化」が重要です。組織は、クラウドにデータの複数のバックアップを持つことによって、バックアップに関して、「一つのボックスにすべての情報を入れる」ことを避けなければなりません。「3-2-1」形式のバックアップのアプローチ、つまりデータのコピーを三つ保持し、二つは異なるメディア形式で、そのうち一つを離れた場所に置くことが大切です。侵入者がすべてのデータコピーをロックし暗号化するのを防ぐためには、こうした取り組みが重要なのです。これにより組織は、ビジネスの継続性を担保し、コストのかかるダウンタイムを削減することができます。

リカバリーテスト:ランサムウェアの攻撃を受けた際、クラウドにバックアップされたデータは、ランサムウェアを駆除した後、少ないダウンタイムで復元可能です。この重要なリカバリープロセスは、事前に何度もテストして欠陥を特定する必要がありますが、技術的で時間のかかるものです。ところが、柔軟なクラウド設定により、データへのアクセスが容易になるため、IT部門は事前にリカバリープロセスをテストすることができます。
 

考え方の変化


次世代のクラウドサービスは、まさにこれからが正念場を迎えます。大手のクラウドプロバイダーから移行することで、企業はデータを解放し、柔軟で予測可能で安価なクラウドソリューションへのバックアップデータを作ることが可能になります。それだけでなく、データを保護することができるのです。ランサムウェアとの戦いに終わりはありませんが、ITおよびセキュリティーの責任者は、こうしたランサムウェアの脅威の増大に対処するために、クラウドストレージやバックアップへのアプローチを見直す必要があります。


【著者プロフィール】

David Friend(デビッドフレンド)氏

Wasabi Technologies LLC
共同創設者/CEO

エンタープライズクラウドストレージサービスプロバイダーであるWasabi Technologiesの共同創設者兼CEO。 エール大学を卒業後、プリンストン大学大学院工学研究科にてDavid Sarnoff Fellowを務めた。コンピューターグラフィックス企業のComputer Pictures Corporationや、大量の顧客データを処理するための多次元データベース分野のパイオニア企業のPilot Software、fax-to-emailサービスの世界最大のプロバイダーであるFaxnet、VoIPカンファレンスサービス企業のSonexis、現在世界をリードするクラウドバックアップ会社の1つであるCarboniteなどを含むテクノロジースタートアップを多数設立した。





RECOMMEND合わせて読みたい

RELATED関連する記事

RANKING人気記事