2022.03.24

【 BtoB越境EC「SD export」の強みを聞く】ラクーンコマース 元健一郎氏「初期費用ゼロで越境ECを実現」

ラクーンコマース グローバル戦略部長 元健一郎氏

【ECソリューションマップ2022「越境EC編」】


ラクーンコマースが提供するBtoB越境EC「SD export(エスディーエクスポート)」のニーズが高まっている。コロナ禍で来日できない海外バイヤーと日本国内メーカーの支持を受けているためだ。長期化するコロナの影響で日本の商品を仕入れるために越境ECを利用する海外バイヤーが増加。「SD export」の越境EC事業全体の流通額は前年同期比で1.5倍に拡大している。ラクーンコマースで、グローバル戦略部長を務める元健一郎氏に、サービスの強みと今後の事業展開について話を聞いた。


――─越境EC「SD export」はどのようなサービスなのか?

当社は、日本国内から世界のバイヤーまで約26万店舗が登録するBtoB卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」を運営している。アパレルや日用雑貨を中心に、家具、家電、食品など140万商品を取り扱う。「スーパーデリバリー」の越境版として、2015年から、日本国内のメーカーが海外に商品を卸売りする際のBtoBプラットフォーム「SD export」を開始した。

海外に卸売りができるという点が特徴的なサービスとなる。双方をマッチングするサービスは他にもあるが、集客や物流、決済、翻訳、保険対応などワンストップで提供している点が大きな差別化になっている。

出展するメーカーは、受注があれば埼玉県にある当社が提携する物流倉庫に発送するのみで、売買が完了する流れだ。出展者は海外と取引している感覚がほとんどなく進められる。


▲「SD export」のスキーム

――メーカーが独自に海外企業と取引するにはさまざま障壁があるが。

私自身、前職で鞄のメーカーに勤めていた時、海外企業との取引を経験してきた。基本的に国内企業が海外の企業と取引をする際、海外の展示会に出展することが必要だ。出展費用や内装費用、配送費用など数百万円単位でコストがかかってくる。それだけのコストをかけないと海外の顧客と接点を持つことが難しかった。

越境ECサイトを自社で構築して展開しようと考えても、ウェブマーケティングを中小企業が実行することは現実的に難しい。

仮に展示会などで海外企業と接点を持つことができても、交渉の際に言語の課題も出てくる。言語をクリアできても、その国の法令に則った契約書を作成しなくてはならない。弁護士費用が掛かることもあり、大きな負担となる。

契約が完了した後、商品を発送する(輸出)段階で、法人間取引の場合は一般貿易として扱われるため通関や関税がかかってくる。ここでもインボイスの書類の提出が大きな負担となる。

決済が後払いになることも多く、代金回収のリスクも出てくる。

国内の中小企業のメーカーが海外企業との取引を行う場合は、こうした大きな負担が出てくることから、事業として成り立たない可能性もある。現在のような戦争や紛争、地政学的なリスクもあり、独自で越境ECを展開することは難しいだろう。

――「SD export」を活用するメリットとは?

世界134カ国を対象に、バイヤーの集客は当社が行う。出展するメーカーにとっては、受注があれば国内倉庫に商品を送るだけで完了し、海外発送の手続きは不要。代金回収のリスクもゼロだ。

極端な例だが、商品の写真と説明があれば、初期費用ゼロ円で来週からでも越境ECに取り組むことができる。例えば、BtoCのECサイトで販売している企業などは、「SD export」に出展申し込みをして、すでに用意してある素材を管理画面から登録するだけで手間がかからないため、やらない理由はないだろう。国内の展示会に出展し、海外からの来場客が見込めずに悩んでいる企業などはぜひ検討いただきたい。

――今後は「ローカライズ」を強化していくのか?

展開する国によって決済や配送の方法、言語など最適化する必要がある。また売れる商材にも違いがあるため、その国に応じた対応を強化していきたい。



「SD export」
https://www.superdelivery.com/sdexport_lp/




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