2022.03.22

大流行のスタッフコンテンツに変化の兆し?!【ビジュアルコマースの時代<第3回>】

到来!ビジュアルコマースの時代~「デジタル接客力」最新強化術~
<第3回>大流行のスタッフコンテンツに変化の兆し?!


ECサイトのビジュアル活用において、ここ数年で最も進化した領域は「スタッフコンテンツ」だといえる。アパレルECサイトで、自社のアイテムを着用した店舗スタッフの画像をよく見かけるようになった。「スタッフコンテンツ」はアパレル業界に留まらず、さまざまな業界で応用が進んでいる。スタッフのノウハウや知見を活用したECサイトのコンテンツ拡充は、実店舗を展開する小売企業の”当たり前”になりつつあるといえるだろう。コロナ禍で店舗スタッフが実店舗で接客しにくい中、そのノウハウをECサイトで活用する動きが加速した。「スタッフコンテンツ」は今後、動画化が進むと見られており、さらに活用が進みそうだ。その一方で「スタッフコンテンツ」活用に新たな課題も出てきている。次のフェーズに移行しようとしている「スタッフコンテンツ」の現状を分析する。


ツールの進化が「スタッフコンテンツ」活用を後押し


アパレル業界で実店舗の販売スタッフが洋服のコーディネート(コーデ)画像をECサイトに投稿する取り組みが活発化している。販売スタッフが洋服の着こなしをビジュアルで紹介することで、着用イメージやアイテムの組み合わせなどを分かりやすく紹介している。画像を投稿する店舗スタッフの伸長などが掲載されているので、着用アイテムのサイズ感も把握しやすくなった。商品画像やモデルの着用画像だけでは伝えられなかった部分を、「スタッフコンテンツ」では伝えることができ、ECサイトのコンバージョン(転換)率向上に寄与しているという。

「スタッフコンテンツ」普及の背景には、ツールの進化がある。スタッフDXのアプリケーションサービス「STAFF START(スタッフスタート)」は、店舗スタッフがスマホから手軽にコーデ画像などをECサイトやSNSに投稿できるだけでなく、スタッフコンテンツの売上貢献度も可視化できる機能を提供している。スタッフコンテンツの評価機能を充実させたことで、店舗スタッフのモチベーションを高め、投稿を活発化させることができる。

ビジュアルマーケティングツール「visumo(ビジュモ)」も「スタッフコンテンツ」活用のために多く採用されている。コストパフォーマンスの高さや、「UGC(ユーザー生成コンテンツ)」と「スタッフコンテンツ」を一括運用できる点などが評価されている。


コロナ禍にスタッフコンテンツが加速


ツールの進化とともに、コロナ禍がECサイトの「スタッフコンテンツ」活用を後押しした。実店舗が営業を自粛したり、営業時間を短縮したりせざるを得ない状況に陥ったことで、手の空いた店舗スタッフの力をECサイトで発揮させようという動きが広まった。

アパレル大手のアダストリアはコロナ禍に入り、「スタッフコンテンツ」を投稿するスタッフ数を3倍に増やしたという。スタッフコンテンツの拡充は、コロナ禍のEC利用の拡大とあいまって、自社ECサイト「.st」の売上拡大に大きく貢献したようだ。


▲スタッフコンテンツ活用を強化したアダストリアの「.st」

「スタッフコンテンツ」の活用はアパレル業界で大流行し、コスメ業界やインテリア業界、最近では食品業界や家電業界でも導入が進んでいる。コスメ業界では店舗スタッフがメイクした画像を紹介したり、インテリア業界ではスタッフが部屋に家具をレイアウトした画像を紹介したりするなど、さまざまな企業がスタッフのリソースを活用して、商品の利用イメージやベネフィット(利益)を伝えている。


▲コーセーグループの「Maison KOSÉ」ではスタッフによるコスメのレビューやメイク画像を掲載

「スタッフコンテンツ」は画像中心だったが、動画も投稿できる機能の提供も進んでいる。動画であればアイテムの素材感やディテールをより詳しく紹介できるだけでなく、スタッフが見た目だけでは分からない機能や使い方を口頭で伝えることもできる。「スタッフコンテンツ」が今後、画像や動画を使い分け、よりリッチコンテンツ化していくのは間違いないだろう。

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