2022.02.19

IT(情報システム)部門は組織の中で重要な要素となり、新たなビジネスを生み出す

自分の存在意義を再認識することは、課題を抱えていることを認めること

今後、ITの世界はどのようなものになっていくのでしょうか。私たちの調査によると、ITは、現在とは、見た目も中身もパフォーマンスもまったく異なるものになると予測することができます。これを実現する鍵となる方法の1つは、「分散化」の結果として、ITがより大きな価値を提供できるようになることです。デジタルトランスフォーメーションによって、ITリーダーの68%が、「責任を他の部門に分散させている」と回答しました。54%は、「業務を他に委任することで責任を分散させている」と答えました。
 
これまでIT部門に委ねられていた業務を、これまでよりもはるかに容易に実行可能にする、ローコードプラットフォームやインテリジェントオートメーションなどのテクノロジーが存在します。こういったテクノロジーに賢明な投資をすることで、分散化の傾向は継続していくでしょう。

IT部門の責任者を対象に行った調査では、回答者の66%が、「デジタルトランスフォーメーションによって、IT部門の従業員がよりクリエイティブになり、他の部門とますます連携・協力し合うことができるようになった。管理業務に費やす時間の削減を期待している」と回答しています。
 
ITスタッフが必要とするスキルの種類や役割も、進化していくことが予想されます。IT部門で働く人たちが、戦略的思考に関するスキルを身につけることにより、単なる「実行者」であったという時代は過去のものとなるでしょう。回答者の38%は、「コラボレーションやエンパワーメントテクノロジーによって、自らの役割や責任を自由に拡大できるようになる。これからは、それを管理するリーダーシップスキルが重要になる」と答えています。一方、37%が「問題解決などのスキルが重要になる」と答え、35%が「感情的・社会的スキルが重要になる」と答えました。
 
また、回答者は、「新しいスキルの構築と習得が自分のキャリアに最も大きな影響を与える」と答えています。シニアIT管理者の78%、全IT管理者の76%が、「継続的な生涯学習が自分に大きな影響を与える」、あるいは「変革をもたらす」と答えています。これは、1人のビジネスマンのキャリア全体で、一つの特定のテクノロジー分野に特化したIT管理者として業務を全うする時代の終焉を意味しています。それらのIT管理者が、ITジェネラリストの役割を果たすことがますます求められるようになることを示唆しています。
 
重要なこととして、ほぼ3人に1人(30%)が、「今後3年から5年の間に、ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンの重要性が増していく」と答えています。その結果、IT部門には、歴史的に疎外されてきたグループからの人材を増やしています。人種、性別、障がい、セクシュアリティを超えたIT組織を構築することが期待されます。
 
全体的に言えることは、IT部門は過去の失敗から学び、長年にわたるさまざまな出来事から立ち直ることができます。ビジネスの重要な一部としての役割から、新たな成果を生み出しているということです。しかし、大きな力には大きな責任が伴うものであり、追加の仕事も発生します。テクノロジーの進歩により、再コーディング、やり直し、再設計などといった、多くの日常的な管理業務から解放されるにもかかわらず、回答者の3分の2(67%)は、「ITがビジネスにおいてますます重要な役割を果たすようになることは、IT部門の仕事量が大幅に増加することを意味する」と考えています。
 
自信を取り戻し、自分の存在意義を再認識することは、一朝一夕にできることではありません。しかし、そのための最も重要な第一歩は、課題を抱えていることを認めることです。IT部門が前進するために、必要なステップを特定することにより、今後3年から5年の間に、状況を大きく変化させることができます。IT部門は、意思決定に優れ、より多様性に富み、より高いスキルを持ち、関係者全員に真の意味でより良い結果をもたらすことができる共同作業を行えるようになります。


【著者プロフィール】
ドン・シューマン 
Pegasystems Inc. 最高技術責任者 兼 製品マーケティング担当バイスプレジデント 



プラットフォーム製品と CRM アプリケーションを担当。Fortune500 に名を連ねる企業に対し、デジタル・トランスフォーメーション、モバイル、分析ツール、BPM、クラウド、CRM といった領域で、20年にわたり、ソフトウェア・ソリューション を提供してきた。アメリカン・エキスプレスやシティバンク、JP モルガン・チェース、 BP といった Fortune 500 企業のマネジメント層、技術担当役員などへ、技術面、アーキテクチャ 面でのコンサルティングを行い、エンタープライズ・ソフトウェアの導入を牽引してきました。 ボストンカレッジにて物理学と哲学の学士号を取得している。




RECOMMEND合わせて読みたい

RELATED関連する記事

RANKING人気記事