2022.01.28

【識者に聞く】表示規制進む薬機法・景表法、表現どう見直すべき?


通販・EC業界では近年、広告規制に係るルールや法律強化の動きが強まっている。薬機法には課徴金制度が、特商法には定期購入規制が導入された。通販・EC企業は、事業規模の大小を問わず、自社の広告表現を見直すターニングポイントといえそうだ。規制の詳細や業界有識者の意見をまとめた。


改正薬機法や改正特商法の流れを受け、通販業界では、広告表現の見直しに着手する企業が目立っている。ある老舗の化粧品通販企業は、「法改正の影響を受けた会社はまだ、立ち上がっていないようにみえる」と話している。法だけにとどまらず、各媒体単位でのレギュレーションも強化が進んでいることから、広告表現の厳格化はさらに加速しそうだ。

景表法も適用強化が進み、2021年11月には初めてインスタグラムの投稿が景表法違反に問われる事例もあった。

業界団体は、改正法を契機に、広告表現ルールのさらなる順守・徹底を呼び掛けている。

薬事法コンサルティングを手掛ける薬事法ドットコムは2021年6月、「改正薬機法まで後1ケ月どうしたらいいの?課徴金対策」と題したオンラインセミナーを配信した。改正法を踏まえた広告表現に向けて、業界では影響が広がっている。


◆専門家の意見①【薬機法の課徴金処分】薬事法広告研究所 稲留氏「業界にはインパクト」
◆専門家の意見② 虚偽表示や未承認品に注意 JADMA 万場氏「これまで通りルール守って」



【解説】広告違反で逮捕の可能性も 自治体でも行政処分の動き


通販・ECの広告規制に関する罰則は法律ごとに異なる。事業規模にかかわらず、ネットショップを運営する事業者全般にも適用される可能性もあり、改めて整理したい。

通販そのものを規制する「特定商取引法」は、業務停止命令などの「行政罰」と警察が逮捕できる「刑事罰」の2種類が定められる。「行政罰」として、最大24カ月の「業務停止命令」と社名公表のある「業務改善指示」、違反をした代表者などに命令できる「業務禁止命令」は、消費者庁や経済産業省(全国の経済産業局も含む)、都道府県が執行できる。すでに東京都などがECに対して業務停止を命じている。

「刑事罰」で逮捕される例としては、被害者が通販サイトなどでウソの広告を見て購入し、被害届を警察署に提出し、受理された場合が想定される。

広告関連規制で最も運用が多い「景品表示法」は「刑事罰」はないものの、社名公表のある「措置命令」を規定し、さらに課徴金制度も設ける。近年は大手企業が命令を不服として訴訟を提起するケースも増えている。

「薬機法」は「刑事罰」と「行政罰」で、「刑事罰」は違反があった場合は警察に逮捕される。2021年8月に新たに課徴金制度が導入された。2022年は課徴金を適用することも予想され、事業者は業界団体に加盟して指導を受けたり、社内のコンプライアンス意識を高めることが必要になる。

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