柑香園が運営する果物のECサイト「観音山フルーツガーデン」は、既存顧客からの購入が6割を占める。収穫後の果物の選別を手作業で実施し、品質の高い果物を販売している。酸味と甘味のバランスに優れた果物を厳選することで、既存顧客の定着につながっている。
果物業界では、専用の機械で果物の等級や不良品を選別するのが一般的だという。同社では10人のスタッフが手作業で確認している。
児玉社長が上京したとき、小売店で販売されている果物の味に疑問を持ったことが、手作業で選別するきっかけになったという。
「小売店で販売されている果物と収穫直後の果物の味に大きな差があることに驚いた。なぜ、獲れたてのおいしさを維持できないのか。さまざまな視点で考えたときに、機械での選別では、果物内部の痛みを見分けられないのが原因だと考えた」(児玉芳典社長)と話す。
手作業で選別し、品質の高い果物を販売そこから手作業による果物の選別を始めた。さらに梱包や出荷も丁寧に行うことで、質を落とさず顧客の元に果物を提供できるようになった。
「酸っぱすぎず、甘すぎない、いわゆる『おいしい』味わいの果物を販売できた。劣化もしていないし、古臭い味もしていない」(同)と話す。
高品質な果物を提供できるようになったことで、ECサイトの売り上げも右肩上がりになっている。
「手作業での選別を開始した2006年から2021年のEC売上高は、平均で毎年前年比約30%増のペースで伸びている。2021年も同約20%増になった。果物のおいしさが伝わり、顧客の定着が図れていることが大きい。50~60代の比較的生活に余裕のある女性が頻繁に果物を購入している」(同)と話す。
今後は、東京・銀座に出店した「フルーツパーラー」の集客に注力する計画だ。商品力を武器に、銀座に訪れる顧客の獲得を狙う。
「観音山フルーツガーデン」https://www.kannonyama.com/