2022.01.20

【記者座談会 2022年EC業界予測<4>越境EC編】中国以外も拡大、課題は物流


2022年のEC業界はどう動くのか――EC業界の”現場”を取材で駆け回る「日本ネット経済新聞」の記者が集まり、「2022年のEC業界予測」を語り合った。テーマは①OMO ②物流 ③コンプライアンス ④越境EC ⑤商品調達 ⑥ライブコマース ⑦メタバースーーの7項目。記者が取材で見てきた変化を振り返りつつ、今年のEC業界の行方を占う。記者の写真とともに、それぞれが掲げるEC市場を攻略するための「2022年のキーワード」も掲載している。


【④越境EC編】

永井:中国向けの越境ECは2021年も伸長しているが、成長はやや鈍化している。大きな要因として、中国政府による大手IT企業の規制激化などが考えられる。ただ、中国に詳しい有識者に話を聞くと、規制強化はこれまでにも行われてきたため、そこまで大きな問題ではないという。規制対象はあくまで大手IT企業であるため、アリババ、テンセントなど、中国での売り上げトップ数十社に入り込んでいないのであれば、中国当局の眼中にはないらしく、「過剰に恐れることは現実的ではない」という見解も少なくなかった。中国ECはプラットフォームごとに流行の変化が激しいが、2022年も引き続き伸び続けると思う。プラットフォームをきちんと選定していくことが重要だ。


      永井愛理 記者

【2022年のキーワード「市場拡大」
コロナで国内外のEC市場が拡大。2022年も引き続き、海外EC進出や新規市場開拓は加速。


高野:花王グループは2021年、中国の「独身の日」セールで前年を上回る好調な実績を上げていた。トイレタリーブランドの「ロリエ」や化粧品ブランド「freeplus(フリープラス)」など、日用品や化粧品が売り上げ拡大の中心となったようだ。広報担当者に聞いたところ、現地での緻密なターゲット設定と、早い段階からのアプローチが奏功し、効率的に顧客を獲得できたということだった。日本と同じやり方ではなく、その土地に合った商品開発やプロモーションは各社とも今後、かなり問われていくのではではないかと思う。

手塚:中国の動画共有サイトの「Bilibili」とか、中国版のティックトック「抖音(ドウイン)」など、いわゆる動画のサイトがライブコマースをかなり伸ばしていると聞いた。スケールはまだアリババなどに及ばないが、成長性は動画サイトの方が高い。中国で次に来るプラットフォームもチェックしておいた方がいいだろう。

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