2022.01.18

パーソナル化し、多様性が増す22年のクラウドストレージ市場

監視カメラ業界ではクラウド利用が活発に


パーソナル化、柔軟性、多様性の向上


AmazonやMicrosoft、Googleなどのハイパースケーラーが、顧客に対して「敵対的な」コストを課していることは、もはや周知の事実です。彼らは、クラウドサービスの利用に当たり、下りデータ転送料やAPI リクエストなどのデータ転送料、ベンダーロックイン、厳しいキャパシティ制限などをかけています。このような予測不可能で高額な料金は、IT予算をあっという間に枯渇させ、企業はクラウドでのデータアクセス性の向上を図ることができません。

世間では、複数のクラウドサービスを組み合わせて運用する「マルチクラウド」が話題になっています。クラウドサービスは今後、複数のベンダーがさまざまな分野で、快適なサービスを提供する方向に進み続けるでしょう。クラウドストレージは、特にデータが長期間保存される場合は、多くのお客さまが、自社のデータをハイパースケーラーから自社運用に移したいと思っています。 ハイパースケーラーの料金モデルは非常に複雑になっており、お客さまは、自分のデータにアクセスしてもペナルティを受けないような、よりシンプルで予測可能なモデルを強く求めているのです

新たなストレージプロバイダーが、ニッチでパーソナライズされたサービスを提供するようにもなるでしょう。より安価で柔軟なオプションも展開することで、クラウド業界は、自社運用と委託型の「ハイブリッドクラウド」の未来に向けて拡大・多様化していくことでしょう。

その結果、市場ストレージは、ハイブリッドまたはマルチクラウド型へと移行します。企業は独自のニーズに応じて、最適なソリューションを組み合わせて使用することができるようになります。この 「ストレージ・アズ・ア・サービス(サービスとしてのストレージ)」のモデルは、2022年も引き続き拡大していくでしょう。

非常に高速なオンプレミス型(自社運用型)のストレージを開発している企業は、一部のアプリケーションでスピーディーに運用する必要性が高まっているため、継続的な成長が期待できます。しかし、非常に高速なソリッドステートストレージにデータを長期間保存しておくことはできません。そのため、これらのストレージベンダーはクラウドストレージプロバイダーと提携し、高速なローカルストレージからより安価なクラウドストレージへの容易な移行を可能にしています。このようなハイブリッドストレージには大きな意味があります。

前にも述べたように、2020年に起きた混乱は、多くの企業にクラウドへの大規模な移行を促しました。そして、企業がリモートワークやハイブリッドワークを推進し、セキュリティリスクが増大しました。その中で、データストレージのニーズが業界全体で進化していくことが予想されます。この勢いは続くと考えています。

10年前、世界中のデータはすべてオンプレミス(自社運用型)でした。今から10年後には、世界中のデータのほとんどがクラウド上に存在するようになるでしょう。移行は進行中です。新しい年に向けて、2022年にクラウドが何をもたらすのか、私は楽しみにしています。


【著者紹介】

David Friend(デビッドフレンド)

Wasabi Technologies LLC
共同創設者/CEO

エンタープライズクラウドストレージサービスプロバイダーであるWasabi Technologiesの共同創設者兼CEO。 エール大学を卒業後、プリンストン大学大学院工学研究科にてDavid Sarnoff Fellowを務めた。コンピューターグラフィックス企業のComputer Pictures Corporationや、大量の顧客データを処理するための多次元データベース分野のパイオニア企業のPilot Software、fax-to-emailサービスの世界最大のプロバイダーであるFaxnet、VoIPカンファレンスサービス企業のSonexis、現在世界をリードするクラウドバックアップ会社の1つであるCarboniteなどを含むテクノロジースタートアップを多数設立した。




RECOMMEND合わせて読みたい

RELATED関連する記事

RANKING人気記事