2022.01.17

【記者座談会 2022年EC業界予測<1>OMO編】リアル店舗のEC化、ECサイトのリアル化が加速


多様な業界で進むOMO


司会:アパレル以外のOMO事例は?

高野:百貨店でもOMOの動きは活発だ。例えば、セブン&アイ・ホールディングス傘下のそごう西武は2021年9月から、OMOの売り場として「CHOOSEBASE SHIBUYA(チューズベース シブヤ)」を西武渋谷店パーキング館に開設した。

ここではさまざまな商品を展示している。決済は全てキャッシュレス。店頭ですぐに買うことができるし、自宅に帰ってからも店頭とECの在庫が連動しているので「あの商品、良かったからやっぱり買ってみよう」という買い方もできる。

この他、近鉄百貨店ではアプリからの送客を強めている。阪急阪神百貨店は、来店しなくても店頭商品を購入できるサービス「リモオーダー」を展開している。

このようにOMOの施策には各社、非常に熱心だ。「店頭でじっくり選んで買う」という既存の方法とは全く違った買われ方、買い方は、2022年ももますます進んでいくと思う。

秋葉:オイシックス・ラ・大地では、顧客接点の一つとして商業施設内にコーナー出店している。2021年9月末現在、食品スーパーなど237店舗に商品を買えるスペースを設けている。そこで手に取ってもらって認知を高め、ECで買ってもらうという動きがある。


      秋葉恭庸 記者

【2022年のキーワード「サステナブルリテール」
規格外品や廃棄されていた食材を活用しアップサイクル食品として販売するフードロスに向けた取り組み。


後藤:OMOは雑貨業界でもかなり進んでいる。雑貨販売店「オーサムストア」を展開しているオーサムは2021年3月、東京・渋谷にOMO展開の基幹店を開設した。店内にはライブ配信できる場所もある。デジタルサイネージも設置しており、店内でライブ配信している様子を、デジタルサイネージでも配信する計画もある。

このように雑貨業界でも、いろいろな店舗がデジタルを駆使し、ECとひも付けて情報の拡散やECでの購入を促すような仕組みを行っている。今後は雑貨や日用品にもOMOはさらに広がっていくと思う。

永井:ジュエリー関係のOMO店舗も増えている。ショールームのような位置付けで商品を確認でき、購入はECで行うものが多い。強引に売り込まないことをコンセプトにしているところもある。高い商品はやはり、実物を見ないと買いにくい。その障壁が下がったり、ECや店舗の相互送客につながっているという話を聞いている。

星野:健康食品の通販企業からは「通販は、お客さまとの接点がすごく少ないと常日頃感じている」と聞いている。「今後、リアルの接点も持ちたい。ただ実店舗を持っているわけではないので、ポップアップストアのようなものをやりたい」そうだ。メインの顧客である高齢者層が集まりやすい、例えば、郵便局とか病院とかで、何かポップアップのイベントができないかと考えている、という声を聞いたことがある。

黒田:食品通販企業はポップアップストアを積極的に展開している。ただ、コロナ禍で商品の試食はやりにくい状況にある。2022年は自分たちの商品の魅力や、生産背景などを伝えていくことがより重要になると思う。

RECOMMEND合わせて読みたい

RELATED関連する記事

RANKING人気記事