2021.12.25

凸版印刷とsouco、物流DXで協業 23年度までに倉庫ソリューションを開発

凸版印刷と、倉庫の空きスペースと荷物の保管場所を探す荷主のマッチングプラットフォーム「souco(ソウコ))」を運営するsoucoはこのほど、物流DX(デジタル・トランスフォーメーション)分野における倉庫ソリューション開発での協業に向け、資本業務提携契約を締結した。両社のもつ技術・ノウハウを掛け合わせ、多様化する保管需要に対し、様々な倉庫の遊休スペースを有効活用する新たなビジネスモデルの開発を目指す。

凸版印刷は、2021年6月、デジタルピッキングシステム国内最大手のアイオイ・システムを子会社化し、両社の持つ商品や技術、ノウハウを組み合わせ、物流DX分野における運用支援サービス開発を推進している。一方soucoは、物流×ITのスタートアップ企業として、「物流リソースの最適配分を支える」というミッションのもと、ユニットロード化された荷物を全国一律料金で保管できる保管サービスのほか、大口利用顧客向けの個別のマッチングサービスを手掛け、2021年6月時点での倉庫提供アカウントと倉庫利用(荷主企業)アカウントの合計数は2000社を超えている。このほど凸版印刷とsoucoは、物流DX分野における倉庫ソリューション開発での協業に向け、資本業務提携契約を締結した。凸版印刷とアイオイ・システムが保有する物流倉庫の運用支援システムと、soucoが持つ倉庫の遊休スペース活用サービスを融合し、多様化する保管需要に対して、ITを活用したアセットライトな物流倉庫の構築・運用を支援するビジネス等を検討する。

soucoが提供するマッチングプラットフォーム「souco」は、一時的かつ小ロットの保管を目的とした利用者が多く、荷姿ごとの単純保管と入出庫をメインのサービスだが、今回の提携を機に、アイオイ・システムが保有するデジタルピッキングシステムの活用と、ピッキング・仕分け工程の効率化を希望する顧客のニーズに応えるソリューション開発を共同で検討する。また、soucoの倉庫ネットワークを活用した凸版によるBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)業務として、倉庫利用者に提供するピッキング・仕分けや梱包配送などを含めたオペレーション業務を行うための企画立案及びサービスメニューの開発検討を行う。さらに、倉庫利用者/提供者の抱える在庫管理や輸送コスト等の課題に対して、RFIDを活用したトレーサビリティシステムをはじめとする「物流サービスの標準化・最適化」に向けた新たなソリューションを企画立案し、検証していく。

近年、生活基盤を支える国内の物流業界は、深刻な人手不足の影響を受け、DXによって物流業界全体の労働環境の改善や人手不足を解消する、「ホワイト物流」を実現するためのロジスティクス・エコシステム構築の動きが加速している。また、国土交通省は「2021年総合物流施策大綱」内において、「倉庫内遊休スペースの有効活用によって、多様化する保管需要に対応する倉庫シェアリングを推進していく」と公表しており、国をあげての物流・倉庫業界の変革が求められている。BtoBでの倉庫シェアリングを中心とした物流サービスプラットフォーム「souco」は、物流施設・倉庫の空きスペースを抱える企業と、季節波動等により保管スペースを必要とする企業の情報を集約し、1年未満の短期利用を中心に、小ロット~1000坪単位での倉庫利用をマッチングするサービスだ。また、soucoは他にも個別の倉庫マッチングや、輸送サービスの提供、遊休スペースの館内シェアリングサービスの提供を行っている。

一方、凸版印刷はニューノーマルの社会に向けたデジタルシフトの加速に対応する社会的価値創造企業を目指し、事業ポートフォリオ変革を進めている。DX事業については、社内外に向けたDXのコンセプトを「Erhoeht-X(エルへートクロス)」と名付け、デジタルテクノロジーと高度なオペレーションノウハウを掛け合わせ、データ活用を機軸としたハイブリッドなDX事業を創出している。物流関連ではRFIDを活用したトレーサビリティシステムや製造工程のデジタル化を支援する製造DXソリューション「NAVINECT」などを展開するとともに、5G、IoT時代のセンシングやAI、ロボット技術の研究などにも取り組んでいる。また、2021年6月には、アイオイ・システムを子会社化し、物流DX市場への本格参入を進めている。



革新的なロボティクス技術・ソリューションの登場やピッキング工程に特化した新たな自動化技術の台頭への期待が高まる中、両社はそれぞれの強みを生かし、物流DX分野における倉庫ソリューションにおいて、新たなビジネスモデルの開発を目指すとしている。双方の技術を掛け合わせた検証および共同研究・開発を推進し、2023年度までに物流DX分野における事業創出を目指し、社会のさらなるDXを推進する。



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