2021.12.24

デジタルガレージ、POS最大手の東芝テックと資本業務提携 キャッシュレス推進とDXを共同推進

デジタルガレージは12月23日、東芝テックと資本業務提携契約を締結した。決済ビジネス、デジタルマーケティングサービスで提携し、リテール市場のDX推進に貢献を図る。

デジタルガレージグループは、年間取扱高3兆円超の決済を取扱うフィンテック事業「フィナンシャルテクノロジー(FT)事業セグメント」、デジタルマーケティング事業を展開する「マーケティングテクノロジー(MT)事業セグメント」、世界のスタートアップへの投資・育成を行う「インキュベーションテクノロジー(IT)事業セグメント」、カカクコムや提携先との合弁会社の設立等を通じ長期的な事業創出を目指す「ロングタームインキュベーション(LTI)事業セグメント」の4つの事業セグメントから構成されており、決済プラットフォームとデジタルマーケティングを収益基盤として、投資インキュベーションにより先端技術やサービスを取り入れることで、これまで数々のインターネットビジネスを創造してきた。

一方、東芝テックはグローバルトップのソリューションパートナーを目指し、データサービス、次世代店舗、決済、サプライチェーンマネジメント(SCM)の4領域に重点を置き、DXを駆使した効率的な事業運営を実現すべく、パートナーと新たなソリューションの創出に取り組んでいる。両社の親和性や補完性は極めて高く、リテール市場のDX推進に大きく貢献できるものとして本提携の合意に至ったとしている。

デジタルガレージの決済事業子会社DGフィナンシャルテクノロジー(旧:ベリトランス)と、POSシステム最大手である東芝テックは、2018年に合弁会社TDペイメントを設立し、対面決済領域で事業を拡大してきたが、近年、リテール市場は事業環境の大きな変化に直面しており、消費者の購買意識やニーズの多様化に加え、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行に伴い、リアルとサイバーを組み合わせたサービスや購買行動など、デジタルテクノロジーを活用した生活様式が定着しつつある。消費者の期待に応える快適なショッピング体験を提供するため、キャッシュレス対応、ECとの融合やOMO、データ活用をはじめさまざまなDX推進が急務となっているとし、デジタルガレージグループとして東芝テックとの提携領域を拡大し、決済事業に留まらない協業を推進する考えを示した。

本提携により、決済ビジネス、デジタルマーケティングビジネスにおいて業務提携を行うとし、決済ビジネスにおいては、TDペイメントその他のチャネルを通じて運用している決済サービス(以下:協業決済サービス)の強化拡充にあたり、DGフィナンシャルテクノロジーと東芝テックの決済サービスの最適化と効率化を推進し、機能統合を図る。協業決済サービスについて、決済手段の拡充、販売チャネル・販売体制の強化等をはじめとした協業関係を一層強化する。決済センターのさらなる安定運用構築のための体制、及び人員その他協力体制とリソースの協力体制を強化する。

デジタルマーケティングサービスにおいては、リテール領域におけるデジタルマーケティングサービスの共同推進。東芝テックが推進するカートPOSやスマホPOS、デジタルサイネージ等リテールメディアにおいて、決済ビジネスの決済データを含む膨大なビッグデータ活用・販売促進プラットフォーム開発・CRM等包括的なデジタルマーケティングを共同で推進するとしている。

資本提携において東芝テックは、デジタルガレージグループが実施する第3者割当による自己株式処分により、デジタルガレージの普通株式94万9500株(発行済株式総数に対する所有割合2.0%、総額約46.2億円)を取得する。デジタルガレージは、東芝テックが実施する第3者割当による自己株式処分により、東芝テックの普通株式29万5000株(発行済株式総数に対する所有割合0.5%、総額約13.5億円)を取得する。また、別途デジタルガレージは、東芝テック株式を取得する予定となっており、その取得後は、互いの取得株式の総額はほぼ同額となるとしている。

社会や産業構造が大きく変化する中、日本のDXを牽引すべく、デジタルガレージは、決済とデータを融合したグループ戦略「DGフィンテックシフト」を掲げている。投資先スタートアップへのキャッシュレス化支援や、決済サービス加盟店への広告・CRM・データマーケティング支援、協業先とのエンベデットファイナンス事業等、グループの経営資源をフィンテック事業戦略に投入している。暗号資産領域への展開の加速として、先般、子会社でブロックチェーン金融サービス事業を展開するCrypto Garageと野村ホールディングスの資本業務提携を行っており、今回の東芝テックとの提携により、リテール市場における事業展開と競争力を拡大するとしている。「持続可能な社会に向けた『新しいコンテクスト』をデザインし、テクノロジーで社会実装する」という企業パーパスのもと、これからも持続可能な社会の構築へ貢献していく考えを示した。

今回の資本業務提携にあたり、デジタルガレージ 代表取締役兼社長執行役員グループCEO 林郁氏は、「デジタルガレージは現在、『DGフィンテックシフト』のもと、日本のDX化を支えていくFTに関わる付加価値事業の創出に立体的に取り組んでいます。POS最大手の東芝テック社とはすでに決済業務を目的とした合弁会社TDペイメントを窓口に協業を続けてまいりましたが、今回の資本業務提携を通じて、DGフィナンシャルテクノロジーと東芝テックの決済サービスの機能統合を図り、複雑化するさまざまな決済手段の最適化をはかります。また、次世代型デジタルマーケティング業務は、両社で個人情報に配慮した最先端のテクノロジーを活用し、21世紀型リテールテックの実現を目指してまいります」と述べた。

東芝テック 代表取締役社長 錦織弘信氏は、「当社は『グローバルトップのソリューションパートナー』を目指し、データサービス、次世代店舗、決済、サプライチェーンマネジメント(SCM)の4領域に重点を置いた新規ソリューションの創出に注力しています。その実現のために、私は当社の経営理念である『ともにつくる、つぎをつくる。』を実践したパートナーシップが一層重要だと考えます。デジタルガレージ社とは、決済領域においてこれまでも積極的に連携を図らせていただき、両社の事業でシナジーを発揮してまいりましたが、このたびの資本業務提携を通じ、両社が一丸となってさらなるDXを強力に推進し、先進的な取り組みをスピーディーかつ積極的に実現することで世の中に貢献してきたいと考えています」とコメントした。



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