2021.12.20

鈴廣蒲鉾、EC・リアル店舗のOMO施策が成功 EC売上1.5倍、メルマガ開封率は60%に

鈴廣蒲鉾本店の松井孝成デジタルマーケティング担当部長


かまぼこメーカーの鈴廣蒲鉾本店は2020年、顧客とワン・トゥ・ワンのコミュニケーションを行う目的で、ECとリアル店舗にまたがるシステムの大幅変更を行った。システムの切り替えに当たっては、マーケティングオートメーション(MA)ツールの「EC Intelligence(イーシーインテリジェンス)」を導入。店舗で土産を求める顧客に対して、ニーズ別にメルマガを配信するようにしたところ、リアル店舗の顧客のEC利用が増加。2020年度のEC売り上げは、システム変更前の2019年比で1.5倍に増加した。メルマガの開封率は60%に達しているという。鈴廣蒲鉾本店・企画開発部の松井孝成デジタルマーケティング担当部長に、同社のOMO戦略について聞いた。


――鈴廣蒲鉾本店の事業と、EC事業について、教えてください。

鈴廣蒲鉾本店は、創業1865年の老舗のかまぼこメーカーです。直営店5店舗を運営しているほか、百貨店9店舗にも出店しています。箱根の麓にある「かまぼこの里」には、年間150万人もの観光客が来店します。リアル店舗のポイントカードの会員には、約8万人が登録しています。

ECサイトでは、贈答需要のかまぼこをメインに販売しています。「入学・卒業祝い」「香典返し」や「ホームパーティー」など、用途に合わせてかまぼこを購入できるようにしています。かまぼこのほか、伊達巻や魚の干物、箱根の地ビールなども取り扱っています。


神奈川県小田原市にある鈴廣蒲鉾本店の直営店舗

――昨年、ECサイトのリニューアルを行ったと聞きました。

2020年から、ECとリアル店舗を横断したコミュニケーション施策を構築するために、ECサイトのシステム変更を実施しました。ECサイトの構築に当たっては、アイテック阪急阪神が提供するECシステム「HIT-MALL(ヒットモール)」を導入しました。MAツールとしては、シナブルの「EC Intelligence」を導入しました。

ECサイトのリニューアルに際しては、「かまぼこのある暮らし」のシーンを提案するコンテンツの強化を図りました。

コンテンツ強化の施策の一つとして、ECサイトに、かまぼこのレシピ写真を掲載するようにしました。ECサイトはインスタグラムとも連動しており、かまぼこのレシピ写真数百点が掲載されています。


鈴廣蒲鉾本店のECサイトで人気のある「おでんセット」

インスタグラムやECサイトに、かまぼこのレシピを蓄積することにより、お客さまにかまぼこを日常的に利用してもらえるようにするのが狙いです。おでん用のセット商品を開発し、おいしいおでんの食べ方をECサイトで紹介したりしています。おでんのセットをECで購入すると、1品目無料になるキャンペーンなども実施しています。


ECサイトではインスタグラムと連動してレシピを掲載している

――コンテンツの強化は、どのような効果を生んでいますか。

ECサイトのコンテンツ強化と、「EC Intelligence」の活用が、相乗効果を生んでいます。

「EC Intelligence」のシナリオ作成機能を活用し、かまぼこ需要を底上げできるような、お客さま一人一人に向けたメルマガを配信しています。例えば、実店舗で会員登録したお客さまに対して、かまぼこの食べ方を紹介するメルマガを送付しています。1年以上購入履歴がないお客さまに対しては、食べ方の紹介に加えて、クーポンを添付したメルマガを送付する施策も実施しています。

現在、当社のロイヤル顧客のメインは、60-70代のアクティブシニアです。ただ、リアル店舗に来店するお客さまの多くは40代です。40代のお客さまは、デジタルリテラシーが比較的高いですから、今後、メルマガやLINEによるアプローチに対するレスポンスは、高まっていくだろうと予想しています。

年代の高いお客さまには、メルマガよりも、DMや手書きのお礼状の方が、再購入につながりやすい傾向があります。「EC Intelligence」を使って、リアル店舗の会員の中からDMの送り先を抽出。その送り先に対して、手書きのメッセージを送る施策を検討中です。

当社のお客さまの層を分析すると、年代が上がるほど、購入単価やLTVが高まる傾向があります。今後、「EC Intelligence」を活用し、年代や、購入品目、購入頻度、購入シーン別にコンテンツを作成し、ECとリアルを問わず、お客さまとデジタルコミュニケーションするシーンを増やしたいと考えています。


【「EC Intelligence」サービス概要】

データマーケティングのシナブルが提供するECサイト特化型MAツール。ECサイト内に、サイト内検索やレコメンドの機能を設置できる。ポップアップ表示などによるウェブ接客や、顧客別のサイト内行動分析、広告効果分析などの機能も備えている。顧客別の分析結果に応じて、パーソナルなリマインドメールを作成したり、DMをオンデマンド印刷して送信したりすることもできる。


「EC Intelligence」
https://www.scinable.com


シナブル
https://www.scinable.com

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