「酵水素328選」シリーズなどの健康食品を通販で展開するジェイフロンティアでは、独自の通販運営のメソッドを武器に成長を続けている。2019年5月期の通販売上高は約65億円だった。一方で、将来の規制緩和を見据えた、医療用医薬品の通販の足場固めも行っている。中村篤弘社長に、同社独自の通販運営のメソッドと、同社が目指している医療用医薬品の通販事業の進捗について聞いた。
今期中に累計800万個販売
ーー御社の主力商品「酵水素328選」シリーズの売れ行きはどうか。
「もぎたて生スムージー」をはじめとした「酵水素328選」シリーズの累計販売個数は、累計700万個を突破した。2020年5月期中には累計800万個を達成できそうだ。
――御社の通販運営には、独自のメソッドがあると聞いた。
私が考える、通販の独自のメソッドは、「商品のコンセプトを一つに絞る」「独自性を追求する」「リニューアルを頻繁に行う」こと。そして、商品のプロモーションには、思い切って投資することが必要だ。
商品の製造については、最低でも工場を2拠点に分散させることが必要だと考えている。何か製品に問題があったような有事に備え、複数の拠点を稼働させてリスクヘッジを行っている。
商品の値付けも重要だ。商品価格に対する原価率が2割以上だと、商品企画として失敗するケースが多い。健康食品の通販で成功している企業では、商品の開発時点で、原価管理をしっかりしている。素材にこだわりを持つことも大事だが、広告費を十分に投資することを見越した上で、商品開発と値付けを行う必要がある。
定期販売モデルのビジネスを見据えた商品企画を行うことも非常に重要だ。1個で、1カ月分を賄えない商品を提供している通販企業も見受けられるが、定期販売モデルを行う上では1カ月分の分量を1個の商品にすることが絶対に必要だ。
現在の健康食品通販の広告の主戦場は、LINEやフェイスブックなどのネット広告だ。ただ、当社では、インフォマーシャルや新聞、テレビCMなどのオフライン広告も同時に打つことで、継続率を高めることができると考えている。現在、当社の通販事業の流入の割合は、オフラインとネットで5割ずつとなっている。
オフライン広告の露出が増えれば、商品への信頼度も上がる。目に見える数字として表れづらいが、きちんと露出しておくことに価値がある。
医薬品通販の規制緩和見据え
ーー薬剤師によるデリバリーサービスを開始したが、狙いは。
スマホアプリで予約すると、薬剤師が自転車で自宅まで届けてくれるというサービスだ。厚生労働省や保健所と、綿密なやりとりをして実施している。今後は、都心に薬局を2拠点作る方針だ。順次拡大していく。
今後は、医薬品医療機器等法の規制緩和により、医療用医薬品の通販が可能になると考えている。他の健康食品通販企業がまねできない、「オンライン服薬指導」の領域だ。
ジェイフロンティアが現在行っている、健康食品や医薬品の通販事業(BtoC)と、通販のコンサルティングやキャスティング事業(BtoB)に並ぶ新規事業として、今後拡大していく予定だ。新しい通販のスタイルを確立していきたいと考えている。