2021.11.18

【インスタ投稿で初の景表法違反】消費者庁、豊胸表示でEC2社に措置命令

消費者庁が指摘した景表法違反の表示

消費者庁は11月9日、豊胸効果をうたう健康食品のEC事業者2社に対し、優良誤認表示で景品表示法に違反したとして措置命令を行った。優良誤認表示は、インスタグラムの投稿とアフィリエイトサイトで行われていた。インスタグラムの投稿内容が景表法の違反対象となったのは初めてのケースとなる。
 
措置命令を受けたのはアクガレージとアシスト。アクガレージはアシストの通販事業を担っている。優良誤認表示が認められた商品は、豊胸効果をうたう健康食品「ジュエルアップ」と「モテアンジュ」。
 
「ジュエルアップ」は、アフィリエイターがインスタグラムの投稿で「バストアップサプリメントです」「#胸大きく」などと表示。アフィリエイトサイトでも、「巨乳になっちゃう」「『巨乳メリハリボディ』成功者続出」などと表示していた。
 
消費者庁は2社に対し、効能効果の合理的な根拠を示す資料の提出を求めたが、両社は期間内に資料を提出しなかった。
 
アクガレージは「景表法の理解に不十分な点があったと考えている。措置命令が出されたことは真摯(しんし)に受け止め、消費者庁と連携・協議の上で適切な対応をする。今後は、これまで以上に法令順守に取り組んでいきたい」(広報)としている。


【弁護士に聞く!「インスタ投稿に景表法」】
記事はこちら▶▶https://netkeizai.com/articles/detail/5066
※11:30公開



【記者の目】インスタの投稿も注意を

消費者庁がEC事業者2社に対して行った措置命令は、アフィリエイターによるインスタグラムの投稿内容が初めて景品表示法違反の対象となった。悪質な事業者の排除や未然防止は、同庁が今年6月から行っている「アフィリエイト広告等に関する検討会」でもさかんに掲げられている。検討会とともに消費者庁もアフィリエイト業界の健全化を視野に入れているようだ。
 
今回、措置命令の対象となった投稿を行ったアフィリエイターは、広告主であるEC事業者から商品を受け取っていた。だが金銭の授受はなかった。
 
景品表示法を含めた通販広告に精通している薬事法広告研究所の稲留万希子代表によると、「金銭の授受がなかったとしても、商品を受け取っていれば投稿内容がPRを意識したものになるのは当然。それにもかかわらず、投稿にPRと明示していなかったため、いわゆるステルスマーケティングの状態になっていた」と説明する。
 
通常、マーケティングを目的とした重要な金銭・物品・サービスなどの提供が行われる場合、マーケティング主体と情報発信者に関係性があることを明示する義務がある。
 
「SNSの投稿内容を消費者庁が明確に違反対象としたのは、(タイミングとして)遅いと感じる」(稲留代表)とも指摘する。
 
インスタへの景表法違反適用はある意味、悪質なEC事業者、広告代理店、ASP事業者に対する、新たな注意喚起の事例と受け取れる。





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