2021.11.17

【フラクタ、シナブル、富士ロジテックに聞く】コロナで進化する『顧客体験』を商機に!「脱丸投げ」「顧客主体」が鍵


コロナ禍でデジタルシフトが加速し、顧客(消費者)の消費に対する意識や行動、求める価値が大きく変化している。この変化は、メーカーや小売企業(事業者)にとって、チャンスでもあり、ピンチにもなりえる。メーカーや小売企業は、顧客の変化にどう対応していけばいいのか?ECやマーケティングの支援で経験豊富なフラクタの河野貴伸社長、シナブルのクライアントコミュニケーション&マーケティング部 曽川雅史部長、富士ロジテック 営業部 西間木智部長に、消費者や事業者の変化、今後2~5年先を見据えたビジネス設計の在り方などを聞いた。3者からは変化へ柔軟に対応するために”脱丸投げ”するための考え方や、顧客主体のサービスを構築するための心構えを聞くことができた。



消費者の変化に付いていけない事業者


――顧客の変化をどう感じていますか?

河野:顧客への理解を進める上で見過ごせないのは、コロナ禍に消費者のデジタルリテラシーが上がった点だと思います。ECで商品を買うことは、この1,2年で当たり前になりました。コロナ禍で外出自粛が促される中、ECを利用せざるを得ない状況になりました。デジタルを駆使した購買行動は、一気に5~10年進んだと思います。

一方、事業者側がその変化に追い付いていないと感じています。最近ではショールーミングに対応したリアル店舗のサービスが広がりつつあります。消費者はリアル店舗に足を運んだらその場で買いたいし、在庫がないなら後日、家に届けてもらいたいし、その場で買わなくても気になった商品をECで買いたいし、ECで買った商品を店舗で受け取りしたいというようなことを当たり前のように望んでいます。オンラインでもチャットやZOOMで接客してくれると思っているし、CRMシステムを活用して商品提案されるのも当たり前になりつつあります。

これは怖い部分もあります。EC側はこれまで、テクノロジーを活用して、OMOの機能やCRMのコミュニケーションを強化すれば、売り上げを伸ばすことができていました。それがOMOもオンライン接客も、データ活用も消費者の当たり前になっていく中で、事業者はどういった提案をすべきかを問われています。消費者側のOMOやオムニチャネルが事業者側を越えていっていると感じています。


河野貴伸氏

フラクタ 代表取締役。フラクタはブランドの自走を支援するトータルブランディングパートナーとして、ECサイトの構築を支援するだけでなく、ブランドの世界観を顧客に伝えるための総合的支援を行う。「Shopify」におけるブランディングや構築コンサルティングの実績も豊富。



タッチポイントがメールからアプリ、LINEに移行


曽川:一昔前、顧客とのコミュニケーションや販促のタッチポイントというとメール中心でした。それがアプリやLINEの比重が高まっていると感じます。メールの反応率は徐々に落ちており、ブランドによってはLINEの反応率がメールの2倍になっています。

デバイスにおいてもスマホが当たり前になったことで、メールマーケティングのやり方も変えていく必要が出てきています。スマホユーザーはメールをその日に見ないことが多いので、ステップメールの配信間隔はメールの開封日やユーザーが良く開封する日を起点に設計しなければなりません。ユーザーの行動パターンの変化に合わせて事業者側が変化していく必要があります。

リアル店舗もECも展開している事業者は、リアル店舗の方がまだまだ集客力があるため、店頭でアプリやLINEの会員登録を促し、ECに誘導する流れができています。昔はブランドのコアなファンが検索してECサイトに来てくれていました。それがリアルの来店客をECに誘導するようになり、事業者のデジタルマーケティングのやり方も変わってきています。


同梱やオリジナル梱包に注力する事業者が増加


西間木:物流で言うと新規顧客をリピートさせるために、コミュニケーションツールとしての同梱施策が増えました。1件の出荷で平均5枚くらいの同梱物を入れています。

D2Cブランドは商品を梱包する箱をオリジナルにしたいというニーズが高まっています。Unboxing(アンボクシング)という開封する際の体験価値を高めるために、オリジナルの梱包資材や緩衝材を使用し、梱包方法の指定するケースが増えています。

大手ECモールが返品・交換対応を強化していることで、消費者もそれが当たり前になりつつあります。返品・交換も購入体験のうちと考え、体制作りを急ぐ事業者が増えてきました。

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