2021.11.15

「未来へ向けた設備投資を」投資コストを2年で回収 「オートストアシステム」海外での導入事例を紹介

オートストア導入で倉庫作業員のケガが0に

物流倉庫でピッキングを行うロボットストレージシステムを提供するオートストアシステムはこのほど、「ポスト・コロナの経営と物流」をテーマにしたオンラインセミナーを開催した。セミナーでは、渋沢栄一の子孫で、投資信託を手掛けるコモンズ投信の渋澤健取締役会長が、渋沢栄一が提唱した「論語と算盤」を現代の企業経営に当てはめ、企業に求められる持続可能な経営について語った。オートストアシステムの阪井克来マネージャーは、ロボットストレージシステム「オートストアシステム」について、海外の中小企業の導入事例を紹介した。

本連載では、渋沢氏のセミナー要旨と、阪井マネージャーの導入事例の要旨を紹介する。
 

【オートストアシステム 阪井克来マネージャー セミナー要旨】

投資コストを2年で回収


「オートストアシステム」の海外での導入事例について、ご紹介します。

「オートストアシステム」は、物流倉庫でロボットがピッキングを行う、ロボットストレージシステムです。倉庫の収納スペースを縮小したり、ピッキングにかかる作業の時間やコストを削減したりすることができます。

ノルウェーの家電小売り企業であるエレクトロインポートレンでは、ECの売上高が1億円に満たない時期に、「オートストアシステム」を導入した結果、コストの増加を抑えることに成功しました。

エレクトロインポートレンは、ノルウェーでは珍しく、B2C、B2Bの両方の顧客を対象に、少量多品種の商品を販売しています。2016年の時点では、同社の売上高は52億円、そのうちECの売り上げは13%に当たる7000万円程度でした。同社はそのころから、ECを含めたB2C事業の売り上げが増加傾向にありました。

エレクトロインポートレンは、この当時、売り上げの増加に対してコストの増加を避けたいと考えていました。当時は、銀行からの借入額が非常に少なかったことから、設備投資を行う機会は今だと判断し、「オートストアシステム」を導入しました。

2019年には、エレクトロインポートレンの売上高が122億円となり、そのうちEC売上高は16億円でした。EBITDA(営業利益+減価償却費)は11億円となりました。売り上げ規模が増大する中、確実に利益を出せる体制を構築できていたのです。

小売りのECビジネスでは、商品のピッキングや返品の入庫作業など、流通規模が増えるにしたがって、確実にコストが発生します。「オートストアシステム」では、ロボットがピッキングや入庫を行うので、人間が作業を行う手間やコストが発生しません。

エレクトロインポートレンでは、「オートストアシステム」の導入に掛かった投資を、当初3~5年で回収することを想定していました。「オートストアシステム」が、同社の予想以上に、コストの平準化を可能にし、生産性を向上させたのです。システム導入の投資にかかったコストは2年で回収できたといいます。


4年間で作業員のケガが0に


オーストラリアのダブコの事例を見てみましょう。

ダブコは錠前などセキュリティー用品を扱うB2Bの企業です。年商約10億円です。

ダブコの倉庫では、1日当たり1000個の商品のピックアップと、300個程度の商品の出荷を行っています。倉庫に必要な人材はせいぜい2~3人です。それでも、ダブコは「オートストアシステム」の導入に踏み切りました。

それは、作業員の健康と安全を重視したからです。ダブコは少量多品種を扱っているため、作業員が倉庫内で1日に歩く距離や時間は相当なものでした。高い場所にある商品をピックすることもあるので、ケガの原因にもなります。

ダブコが「オートストアシステム」を導入したところ、導入から4年間で作業員のけがは0になったといいます。作業員の安全確保につながったのです。

システムで、1時間当たり600個の商品のピックアップができるようになりました。その結果、注文を夜遅くまで受けられるようになったのです。

消費電力の削減にもつながっています。システム導入前は月間80万円だった倉庫の電気代は、15万円に削減できました。

渋澤健氏が言われたように、サステナビリティ―は世界の潮流になっています。企業だけでなく、個人レベルで参画するようになっているのです。そのために企業は変わる必要があります。

企業は変わるために、“使ってはいけない三つの言葉”があるといいます。

「前例がない」「組織が通さない」「だれが責任をとるんだ」の三つです。10年間、新たな前例を作らない会社の方が、問題があるのではないでしょうか。

投資に対する意思決定に必要なのは、「未来を信じること」です。

自らが信じる未来のために、積極的な設備投資を検討すべきだと思います。



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