2021.11.02

渋沢栄一の「論語と算盤」に見る、企業経営におけるサステナビリティー【オートストアシステム セミナーレポート⓵】

渋沢栄一氏の写真は深谷市所蔵。右は渋澤健氏

物流倉庫でピッキングを行うロボットストレージシステムを提供するオートストアシステムはこのほど、「ポスト・コロナの経営と物流」をテーマにしたオンラインセミナーを開催した。セミナーでは、渋沢栄一の子孫で、投資信託を手掛けるコモンズ投信の渋澤健取締役会長が、渋沢栄一が提唱した「論語と算盤」を現代の企業経営に当てはめ、企業に求められる持続可能な経営について語った。オートストアシステムの阪井克来マネージャーは、ロボットストレージシステム「オートストアシステム」の海外での導入事例を紹介した。

本連載では、渋沢氏のセミナーの要旨と、阪井マネージャーの導入事例に関するセミナーの要旨を紹介する。


【コモンズ投信 渋澤健取締役会長 セミナー要旨】

私は渋沢栄一の孫の孫に当たる。渋沢栄一は150年前に、500社以上の会社を作ったことで知られている。

当時の資料を見ると、渋沢栄一が、日本の情勢について、怒りを覚えていたことが分かる。「日本の企業は、もっといい企業になれる」と、常々話していたのだという。

ところで、今、「ESG投資」という言葉をよく耳にする。ESGは、「Environment(環境),Social(社会),Governance(経営管理)」を指す言葉だ。今や、「ESG」への配慮ができていない企業は、投資家などから「企業価値を棄損する」リスクを抱えているとみなされるようになってきている。

「ESG」に配慮するという考え方は、渋沢栄一が提唱した「論語と算盤」にも大きく通ずるものがある。渋沢栄一は、「論語と算盤」の中で、「正しい道理の富でなければ、富は完全に永続することはできない」としている。つまり、「社会の多数が貧困に陥るようなことでは、幸福は継続されない」ということだ。

これにかなり近い思想を、米大手投資銀行のJPモルガン・チェースのジェイミー・ダエモン最高経営責任者も、「ステークホルダー・キャピタリズム」として唱えている。「株主・顧客・社員」の三者に配慮した経営をすべきだという考え方だ。

つまり、自分の会社の算盤しか見ていない企業経営では、いずれつまずいてしまう可能性があるということだ。環境問題や社会情勢を包括的に捉え、持続的な経営を行う必要がある。

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