2021.10.28

【<徹底解明>モール物流戦争の行方】第3回 楽天、日本郵政と「料金」「サービス」の質向上へ


「モール物流戦争の行方」第3回では、急速な変化を繰り返し、サービス拡大を進める楽天グループ(楽天)の物流サービスに迫る。ヤマト運輸のアセットを活用して物流サービスを展開しているヤフーとは異なり、楽天は自社でモール出店者向けの物流サービス「楽天スーパーロジスティクス(RSL)」を構築し、日本郵政と組むことでさらにサービスを強化しようとしている。自社物流ではアマゾンが一歩リードしているものの、対抗馬の一番手は楽天だと言えるかもしれない。「RSL」を利用する店舗や物流会社の声から、楽天の物流サービスの可能性を探る。


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楽天が10月12,13日に開催したオンラインカンファレンス「楽天オプティミズム」において、三木谷浩史社長は、日本郵政の増田寬也社長とトークセッションを行った。

増田社長は、「(提携において)最初に成果が見えてくるのは物流分野だろう。JP楽天ロジスティクスという会社を設立して、一刻も早く、高いクオリティーでお届けするための取り組みを進めている」と説明した。

三木谷社長は日本郵政との提携の狙いとして、「日本(のEC化率)はまだ10%前後。いずれ20%、25%に行く。その中で一番重要なことは『物を届ける』ということ。楽天グループとしては数年前から『楽天エクスプレス』という独自サービスを展開してきた。ここからさらに人口カバー率を70%、そして100%を目指すよりも、日本郵政と組んだ方が圧倒的に効率的だし、シナジーが高い。出店者にとっても魅力的な値段、クオリティーの高いサービスを提供できる」と語った。


日本郵政の増田寬也社長(左)と楽天の三木谷浩史社長(左)がセッション


2018年から物流サービス始動


楽天は2018年1月、「ワンデリバリー構想」を打ち出し、物流サービスの本格展開を始めた。物流サービス「RSL」は、アマゾンの物流サービス「フルフィルメント・バイ・アマゾン(FBA)」に対抗した宅配運賃を提示し、受託拡大を進めた。

楽天は重点投資領域として物流を掲げ、物流拠点の開設や、配送網の拡充を急いできた。当初、三木谷社長も「2020年までに『楽天市場』のすべての商品を楽天経由で配送する」という構想を掲げていたが、そこまでのスケールには至らなかった。

拡大する物流需要とサービス品質の強化を進めるにあたって、日本郵政との提携は必要だったようだ。

楽天と日本郵政は、2025年までに共同の物流拠点を11~13施設に拡大し、3~5億個の取り扱いが可能になるキャパシティーを確保する計画を掲げている。

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