2021.09.03

【インタビュー】日本後払い決済サービス協会 高橋事務局長 小松運営委員長「後払い決済市場の健全発展目指す」

高橋啓太事務局長(左)、小松哲哉運営委員長(右)


ネットプロテクションズ(NP)やGMOペイメントサービスなど後払い決済サービス7社は今年5月に、初の業界団体「日本後払い決済サービス協会」を設立した。EC市場の拡大に比例して、後払い決済市場も広がりを見せる中で、加盟店への審査基準などを盛り込んだ自主ガイドラインの策定を進め、健全な業界の発展を目指す。NPに在籍する、同協会の小松哲哉運営委員長と高橋啓太事務局長に設立の目的や現在進めているガイドラインの状況について聞いた。


――設立の経緯について聞きたい。

小松:後払い決済は2002年にNPが国内で初めて提供し、現在は複数の企業が後払い決済業界に参入している。後払い決済を利用している消費者の保護と同時に、業界の発展と健全な取引を目指すことが目的だ。

後払い決済市場が拡大するにつれ、一部ではあるが消費者トラブルが増加していた。事業者固有の問題ではなく、業界全体の問題として解決していこうと考えた。


小松哲哉運営委員長

――2020年1月に国民生活センター(国セン)が「後払い決済」の課題を発表した。この影響は?

高橋:NPとしても以前から消費者問題を課題として認識していたので、業界全体の共通認識にしていきたいという思いもあり、同業他社との情報交換を始めた。

小松:国センの発表では、一部の通販・EC事業者が行っている安価な初回購入で、最低3~4カ月購入が条件の定期購入を行う販売方法を問題視していた。

この条件の定期購入の一部に「後払い決済」が利用されていたために、国センから当社に問い合わせがあった。

高橋:定期購入と後払い決済の相性が良いという面も背景にあるだろう。


高橋啓太事務局長

――加盟店審査については?

小松:通常は、「企業審査」として、通販・ECサイトの「特商法の表記」をはじめ、登記簿の確認などを行う。さらに、「商材審査」として、転売しやすい商品なのかどうかも調べている。しかし、顧客サポートなどの体制までの確認を事前に行うには限界がある。多くのEC企業が健全に事業を行う中で、一部の事業者で顧客サポートが悪かったり、悪意のある販売を行ってトラブルになっている。顧客サポート体制については、事前審査の時点ではなかなか見極めることが難しいのが現状だ。NPの場合は、審査項目を追加したり、消費者トラブルになるような場合は、運用状況を確認して対応している。

――団体の活動内容は?

小松:加盟店管理のために業界団体として自主的なガイドラインの設定を検討している。隔週で開催するオンラインミーティングに加え、月1回の対面でのミーティングを重ねている。

後払い決済は適用される法律がなく、所管する省庁はない。現状では、国センや経済産業省、内閣府消費者委員会とのやり取りを行っている。そのため、行政としては窓口としての業界団体に期待する声は大きいと感じる。

当協会としては、法規制に頼らずに自主的なルールで消費者トラブルを防ぐことを大きな目標にしている。昨年は、国センが主催する全国の消費生活相談員を対象として研修会で、後払い決済について講演し、今秋も講演を予定している。将来的には消費者に対しても何らかの注意喚起をしたり、他の業界団体と情報交換して連携を図ることも視野に入れている。

高橋:後払い決済は消費者としても利便性の高い決済手段として利用をいただいている。

業界団体の活動を通じて、より健全な通販・ECになるように尽力していきたい。


「日本後払い決済サービス協会」
https://j-bnpla.jp/






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