2021.08.31

デジタルガレージとJCB、NFCタグを活用した決済サービスの実証実験開始 完全非接触型決済でコロナ禍に対応

写真はイメージ

デジタルガレージを中心とするDGグループと、ジェーシービーはこのほど、NFCタグを活用した非接触型の新決済サービスの実証実験を開始した。実験場所は、オリックス・バファローズ主催試合開催日の京セラドーム大阪施設内、映画館の渋谷HUMAXシネマ/池袋HUMAXシネマズ、高田馬場の文房具店CHIKUHO。同実験により、NFCタグを活用したスマートフォン決済の顧客体験、店舗オペレーションならびに技術的改善点を検証する。

NFCタグとは、近距離無線通信技術(NFC: Near Field Communication)に対応した非接触型のICタグで、スマートフォンをかざすだけで情報を読み取ることが可能。カメラを起動し、焦点を合わせて読み取る操作を必要とするQRコードに比べ、「かざすだけ」というより簡易な動作だけでサービスを利用できる。

DGグループとジェーシービーが実証実験を開始したNFCタグを活用した新決済サービスは、購入者が自身のスマートフォンだけで決済を完結できる完全非接触型の決済サービスで、購入者がNFCタグにスマートフォンをかざすことでWebブラウザへと遷移し、オンライン上で決済を完了させることが可能。ブラウザ上では、金額入力後加盟店へ決済完了画面を提示する決済方法や、メニュー画面を表示する前払い式のモバイルオーダーができ、支払い手段はスマートフォンに登録しているクレジットカードを用いるため、現金を授受する必要がない。決済時の店舗側の操作が不要でスピーディーに決済ができるほか、NFCタグは小型で電源不要のため柔軟に設置場所をレイアウトでき、混雑の分散が求められるスタジアムや期間限定イベント会場のような催事場、小規模店舗などのキャッシュレス決済未導入店の導入にも適している。

新型コロナウイルスの影響で、多くの事業者のビジネス環境が変化している。ジェーシービーの調査では、コロナの影響を受けた事業者のうち、「売り上げの減少」(79.2%)「利用客数の減少」(55.8%)に加え、「時短要請などによる営業時間の縮小」(28.8%)や「感染症対策の実施とそれに伴うコスト・事業負荷増加」(25.6%)といった変化を感じた事業者がいた。また、客側からも「店内の感染症対策」(53.9%)、「キャッシュレス決済」(35.3%)といった、コロナ以降ならではの需要の変化があったとし、客側が自身のスマートフォンだけで決済を完結できる完全非接触型の本決済サービスにより、コロナ以降の事業者のビジネス環境・消費者の需要の変化への対応が可能としている。

今回の実証実験は、オリックス・バファローズ主催試合開催日に行う京セラドーム大阪施設内、映画館の渋谷HUMAXシネマ/池袋HUMAXシネマズ、文房具店CHIKUHOで実施し、対象となるのは「Apple Pay」のウォレットにJCBまたは American Expressのカードを登録している人。

京セラドーム大阪施設内では、8月27日~9月30日の期間、オリックス・バファローズ主催試合開催日に、同施設有料イベントエリア内3階の各売店(飲食ワゴン販売は除く)および販売スタッフによる飲料販売にて実験を実施。購入者が、売店のレジ付近に設置、または販売スタッフが首から下げているNFCタグに手持ちのスマートフォンをかざすと、Apple Payの決済画面へと遷移し、オンライン上で決済を完了できる。

【京セラドーム大阪、CHIKUHOでの利用フロー】


渋谷HUMAXシネマ/池袋HUMAXシネマズでは、9月6日~9月30日の期間、両映画館内の映画館内の飲食販売店にて実験を実施。映画館内の飲食販売付近に設置したNFCタグに手持ちのスマートフォンをかざすと、商品選択画面へ遷移し、注文商品を選択し、カートからApple Payにてオンライン上で決済を完了できる。注文内容は、決済完了後に店舗に自動で連係されるため、準備出来次第商品を提供する。列に並んで待つ必要はないという。

【ヒューマックスシネマでの利用フロー】

文房具店CHIKUHOでは、8月23日~9月10日の期間、売店のレジ付近にNFCタグを設置。購入者が手持ちのスマートフォンをかざすとApple Payの決済画面へと遷移し、オンライン上で決済を完了できる。

本実証実験を通じてNFC タグを活用したスマートフォン決済の顧客体験、店舗オペレーションならびに技術的改善点を検証し、今後、国内外でのNFCタグを活用した決済サービスの導入検討を行っていくとしている。また、Androidスマートフォンへの対応や利用可能なカードブランドの拡充も予定している。

コロナウイルスの影響を受け、多くの事業者で売上減少など業状が悪化しているとし、ジェーシービーは、国内最大級の加盟店ネットワークを活かし事業者の課題解決につながるキャッシュレス導入・支援に取り組むとともに、コロナ影響を受けている加盟店を支援するため、今後も各社のニーズを捉えた様々な取り組みを実施していくとしている。

一方、DGグループはこれまで、決済事業とマーケティング事業の双方を有するグループの知見やノウハウをもとに、ジェーシービーの集客支援や、様々な加盟店へのJCBクレジットカード決済をはじめとした多様な決済サービス提供に取り組んできた。これらの実績を基盤に、グループ戦略「DGフィンテックシフト」のもと、決済と集客・マーケティングを融合した統合的なソリューションを開発しており、引き続きジェーシービーとともに、消費者の利便性向上や加盟店の課題解決に資する取り組みを進めていくとしている。



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