「ファングッズ」ではなく「ブランド」確立が肝
ユーチューバーなどのブランド構築で10件以上の実績を持ち、2021年7月にインフルエンサーのD2C支援に特化したFar East Innovatorを立ち上げた笠松代表は、ユーチューバーの物販について、「ブランドが独り立ちし、ブランドがユーチューバーを知るきっかけになることが理想」と語る。
笠松代表は15歳で米国の士官学校に入学し、ナンバー2の階級である曹長にまでなり、卒業後に日本に帰国して、起業したという異色の経歴を持つ。日本ではトレーニングで体を鍛えてきたことから、パーソナルトレーナーとしてキャリアをスタートし、アパレルブランドの立ち上げやマーケティングでビジネスを拡大してきた。
Far East Innovator 笠松晃太郎代表ユーチューバーやインスタグラマーなどインフルエンサーからブランド構築の相談を受ける機会が増え、本格的にブランドの立ち上げから販売サイトの構築、運営支援まで手掛ける事業を開始したという。
キリン【考察系youtuber】のブランドは2週間で数千万円
ホラーやサブカルチャー系の動画を配信し、チャンネル登録者数181万人(8月1日現在)を誇るユーチューバー「キリン【考察系youtuber】」は今年5月、「KILMINA(キルミナ)」というブランドを立ち上げた。このブランドも笠松代表が支援している。
「KILMINA」のトップページではPVが自動再生される
世界的な事件や惨事を予言しているとして、都市伝説界で人気のカードゲーム「イルミナティカード」から着想を得て、カードをバックプリントしたロングスリーブTシャツを4点発売すると、2週間経たずに完売し、数千万円の売り上げを上げたという。
「キリン【考察系youtuber】さんは顔出しをしていないため、他のユーチューバーと比べると配信者自身ではなく、ニッチな他にないコンテンツにひも付いているファンが多い印象だった。ファンの層を洗い出した上で、ブランドのコンセプトやストーリー設計にこだわり、デザイン、プロモーションビデオ(PV)などのクオリティーを高め、ブランドが独り立ちすることを意識した」(笠松代表)と説明する。
ブランドの世界観をPVやサイトのデザインで表現販売サイトやPVには、ミスター・ジャパン日本代表に選ばれた経歴もある笠松代表がモデルとして出演している。商品の企画・デザインから販売サイトの構築、マーケティングだけでなく、モデルまで兼務できる点も笠松代表の強みだ。
笠松代表はミスター・ジャパン日本代表に選ばれた経歴もある笠松代表は「『着るカードゲーム』として4パターン発売したことで、コレクション要素を高め、まとめてすべてのアイテムを購入してくれる方も多かった。Tシャツにプリントした絵柄のカードを同梱するという仕掛けも用意した。カードにはQRコードが付いており、そこからカードの絵柄を説明した特別動画を観られるようにしている。同梱されたカード、特別動画というアパレルの枠に収まらないエンタメ要素を取り入れることで、さらに話題性を高めることができると考えている。第2弾以降の展開につなげる仕掛けでもある」と語る。
「着るカードゲーム」として4種の絵柄を用意。コレクション要素を提案「キリン【考察系youtuber】」は「KILMINA」立ち上げ前に、人気雑貨ショップ「ヴィレッジバンガード」とコラボ商品を販売したこともある。キャラクターをプリントしたグッズは話題性があったものの、「KILMINA」の売り上げには遠く及ばなかった。商品やPV、販売サイトのクオリティーにこだわり、ブランドとして確立することで、「キリン【考察系youtuber】」のファンが強く支持してくれ、今後はその世界観に惹かれたブランドのファンを増やしていくことができそうだという。