2021.07.12

【問われる出品者管理責任】デジタルプラットフォーム新法の契機になった『火災事件』を追う Amazon訴えた男性の3つの主張とは?

火災にあった加藤さんの自宅(写真)


国会では5月、オンラインモール関連の取引などについて消費者利益の保護を図る「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律(以下取引DPF法)」が成立した。同法には、危険物等の出品の停止を国がモールに要請できることや、消費者が損害賠償請求に必要となる、販売事業者の情報の開示を求める権利を持つことなどが、盛り込まれている。同法制定のきっかけの1つになったとされるのが、2017年11月に発生した火災事件だ。アマゾンのマーケットプレイスで購入したモバイルバッテリーが、火災の原因になったという。同事件では、アマゾンから、事業者の連絡先などが開示されず、問題解決は困難を極めたようだ。被害にあった男性は現在、アマゾンを相手取って、民事訴訟を提起している。7月中旬には、第2回の公判が予定されている。



バッテリーで自宅が半焼


会社員の加藤尚徳さんは2020年10月、アマゾンジャパンに損害賠償を求める訴訟を起こした。加藤さんは2017年11月に、アマゾンのマーケットプレイスでAukey(オーキー)の車用モバイルバッテリーを購入。使用中のバッテリーから出火し、自宅が半焼する被害にあったという。

自宅マンションの火災保険で損害は一部補填されたが、損害額が保険金を450万円余り超過したとしている。その後の消防などの調べで、出火の原因がバッテリーの劣化・損傷だと分かったという。

加藤さんは、同商品を販売したメーカーに連絡を取ろうとしたが、「特定商取引法上の表記」に記載された電話番号は海外のもので、連絡しても不通だったという。

アマゾンに事情を説明したところ、アマゾンから、アマゾンのフォーム上で連絡があり、返金対応が行われた。ただ、メーカーの連絡先を、アマゾンからは教えてもらえなかったという。



加藤さんは国内の弁護士や中国現地の弁護士事務所を通じて、オーキーの中国本社を相手取り、民事訴訟を提起。2019年には、和解金180万円を勝ち取った。ただ、損害を補填するのに十分ではないため、アマゾンを相手取って訴訟を起こしたとしている。

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