2021.06.25

【オジサンは知らない!巨大サービス「Simeji」活用術】Z世代獲得で効果発揮、「バズる」「即完」量産の仕組みとは?


スマホ向け日本語入力アプリ「Simeji(シメジ)」をご存じだろうか?知らない人は「オジサン」の烙印を押されてしまうかもしれない。「Simeji」は4500万ダウンロード(DL)を誇る国内最大級のキーボードアプリ。ユーザーの74%が10~20代で、62%が女性。Z世代と呼ばれる若い女性に支持されており、「オジサン」と呼ばれる40代以上の男性は、全体の6%しかいない。この「Simeji」が、メーカーなど企業のマーケティングを強力に支援できるサービスとして進化しているという。SNSで大きな話題を集める「バズる」、PRした商品が即完売する「即完」を量産する仕組みに迫った。



アプリ4500万DL超、4月にはAppStore1位に


「Simeji」の前身サービスは2008年11月にリリースされた。当初はアンドロイドのスマホのみに対応していたが、2014年9月にiOS版をリリースし、iPhoneでも利用できるようになった。2011年に中国・検索エンジン大手の百度(バイドゥ)の日本法人であるバイドゥが「Simeji」を事業譲受し、運営している。

12年以上の歴史があるサービスだが、今年に入り利用者が急増している。今年4月には「LINE」「Gmail」を押さえ、iOS版アプリのマーケット「AppStore(アップストア)」のDLランキングで1位を獲得した。

写真・動画のSNS「インスタグラム」アプリで日本語入力に不具合が生じた際に、「Simeji」を利用すれば不具合を解消できるという口コミが広まったことが影響したという。

それ以前からも、Z世代を中心に多くのユーザー数と高い利用頻度を誇っていた。AppAnnie(アップアニー)の調査では、2020年第3四半期(7‐9月)におけるZ世代が使う非ゲーム部門のMAU(月間アクティブユーザー数)で8位にランクインしている。


アプリダウンロード数は4500万を突破

「Simeji」では多数の着せ替えキーボードのデザインを提供しているだけでなく、ユーザーが自分の好きな画像を用いてカスタマイズできる機能もある。人気アニメや有名人とのコラボレーションデザインも多い。フォントや文字色、フリックガイドもカスタマイズでき、顔文字・絵文字は20万語以上を搭載している。


【「Simeji」データ】
サービス内容:写真や好きな画像でキーボードをカスタマイズできるキーボードアプリ
ダウンロード数:4500万超
ユーザー属性:




「変換」「ランキング」で発信強化、メディア化する「Simeji」


「クラウド超変換」機能では、タイムリーに表示するテキストを変更することでユーザーの心をつかんでいる。歌のタイトルを入れると歌詞の一節が表示されたり、アニメのタイトルを入れると作品中の人気フレーズが表示されたりする。

「星野源さんと新垣結衣さんが結婚を発表した後には、それぞれの名前を打つと『おめでとう』という変換ワードが表示された。それを見て2人の結婚を知ったユーザーもいる。ニュースのような機能も果たしている」(バイドゥ プロダクト事業部チームリーダー 古谷由宇氏)と話す。


バイドゥ プロダクト事業部チームリーダー 古谷由宇氏

変換機能に遊びを入れ、さらに時流に合わせて変化させることで、ユーザーの興味関心を引き付けている。

ユーザーが自作スタンプを投稿し、共有する機能もある。自分の絵を投稿したり、好きなキャラクターの素材を2次創作したりしている。コンテンツを介したSNSのような存在になっている。

毎日、スマホを使うZ世代にとってはキーボードもエンタメであり、自分流にカスタマイズしたり、日々変化する機能を確認したりするのが楽しみの1つとなっている。そのため「Simeji」を訪れる頻度が高まっていくというわけだ。

さらに、「Simeji」は若年層ユーザーの高い利用頻度を活用し、Z世代のトレンドが分かる「Simejiランキング」という調査コンテンツを配信している。


「Simejiランキング」ではさまざまな切り口の調査を実施

「1~2週間で3000~4000件の回答を集めることができる。インセンティブを付けずに、10代の声をこれだけ迅速に集められるところはほとんどない」(古谷チームリーダー)と言う。

調査結果はメディア各社からも高い支持を得ており、テレビ番組のコンテンツになる機会が多い。

豊富な機能に加え、コンテンツのバリエーションが広がり続けていることで、「Simeji」はZ世代の世代の注目を集めるメディアとなっている。

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