モール購入者の85%以上が新規顧客
――「ハンロー」ではどのようにメーカーのモール販売の障壁をクリアし、小売店とは異なるアプローチでブランドを守ることができるのか?まずモール販売によるブランド力の低下を懸念するメーカーには、「楽天市場」が近年では「ブランドデー」などのキャンペーンを展開し、ブランドの販売に注力していることを紹介している。多くの有力ブランドがモール販売を始めており、競合が出ているのに、何も手を打てないのは逆にリスクになる。
自社ECサイトを構えているメーカーが、モールへ顧客が流れてしまうことを懸念するケースもある。その際は当社のデータで、自社サイトを持っているメーカーがモール出店した場合、モールに流れた顧客は3~15%にとどまっているというデータを紹介する。モールの購入者の85%以上は新規の顧客であり、そこを獲得する方に目を向けた方が得策だ。
「ハンロー」ではブランドの専売店舗を当社が出店し、そこでメーカーと話し合った価格で商品を販売する。価格訴求ではなく、ブランドの魅力をリッチなコンテンツで訴求し、販売する。小売店は多数のブランドを取り扱っているため、1ブランドのためにそこまで労力をかけてくれない。
メーカーと話し合いオリジナルのセット商品を企画して、モール内で差別化を図ることもある。モール内での値崩れが進んでいる場合、価格は下げないが、ポイント施策で販売を促進することもある。
梱包はブランド名を記載した専用の箱に入れて送る。若者向けに販売するブランドの場合、非対面で受け取れるポストインサイズのオリジナルの箱を作ったこともある。ギフト用に受け取った人が喜んでいただけるような、オリジナルの外装と、メッセージカードを作成したこともある。
レビュー獲得のための施策も積極的に行い、ブランドに多くの高評価レビューを集めている。
メーカーは販促費用負担などは別にして、当社に商品を卸すだけで、システムの改修や個人情報管理のための仕組みづくりなどは不要だ。
――このタイミングで「ハンロー」の提供を開始した理由は?「ハンロー」と名付けて展開し始めたのは今年3月からだが、同様のサービスは4年前から提供している。スキンケア商品を扱うプレステージブランドや電気シェーバーのブランド商品など多数の有力ブランドの支援実績がある。
サービスブランドを固めて提供を本格化したのは、モールの影響力の拡大が背景にある。モールのレビューは、ネットで購入する際だけでなく、リアル店舗で商品を検討する際にも参考にされている。オンラインの主要な販売チャネルとなっているモールで、しっかりとブランド力を高めることで、リアルでの販売にもプラスになる。
DXが進む中、オンラインでのショッピングエクスペリエンスを高めることは、ブランドにとっても重要な要素になっている。
――「ハンロー」の対象となるブランドの条件は?生鮮食品など保存がきかない商品は取り扱いが難しい。まだ無名な新商品などもハードルが高くなる。単価が低い商品も取り扱いづらい。
メーカーの販売ポリシーを守って販売するため、販促費はメーカーにご負担いただく。大手企業のブランドだけでなく、中堅中小企業のブランドも取り扱い実績はある。初年度1億円くらいの売り上げ目標を立てられるブランドとの取り組みを増やしていきたいと考えている。
「ハンロ―」https://itsumo365.co.jp/service/hanro/