2021.04.08

【インタビュー】オプスデータ 中野賀通社長「地域課題解決するサブスク、出足好調」

オプスデータ 中野賀通社長


サブスクリプション(サブスク)支援最大手のテモナ取締役CTOなどを歴任してきた中野賀通氏は2021年1月、自らが代表を務めるオプスデータで地域課題を解決するためのサブスク「WAKEAU(ワケアウ)」の提供を開始した。コロナ禍に悲鳴を上げる地方の状況を知り、地域共創事業として立ち上げたサービスだ。地域産品の詰め合わせが届く「WAKEAU」は、広告費をかけずとも、すでに多くの利用者を獲得している。中野氏に「WAKEAU」を始動した思いや今後のサービス展望について聞いた。


地域の魅力を詰め込んだBOXをお届け


――「WAKEAU」とはどんなサービスか?

地域の魅力を詰め込んだBOXをお届けするサービス。名産品や特産品と一緒に地域の魅力を紹介する同梱物が届く。コンセプトは「きっと、もっと、悲しみも喜びも分け合える」。商品を購入するというより、その地域を支援するプロジェクトに参加するといったイメージだ。地域からすると、定期的に商品をお届けすることで、ストック型の収益を確保でき、さらに地域の魅力を参加者に伝えやすいサービスだ。

――最初に福岡県の糸島と取り組みを始めた経緯は?

糸島には「伊都菜彩」という日本最大級の直売所がある。ただ、その販売チャネルをうまく活用できていない生産者もいる。生産者の課題があることに加え、ネットの関係人口も多く、このプロジェクトに理解を示してくれる方が多かった。最初に生産者さんに「WAKEAU」について説明して回ったところ、すぐに12社くらいが参加を承諾してくれた。今年1月から試験的に販売を開始しているが、広告費をかけずに、すでにたくさんの注文をいただいている。今後、糸島のモデルを全国に展開していきたい。


第1弾は糸島

――そもそも「WAKEAU」を始めた経緯は?

新型コロナウイルスの影響で地方が苦しんでいることを知ったのがきっかけだ。私はテモナの取締役CTOを務めていたが、それ以外にも大企業のDX支援会社やスタートアップのハンズオン支援会社などの経営に携わっていたこともあり、さまざまな地方の方から救援要請が寄せられた。感染者数は都市部の方が多いものの、コロナのしわ寄せは地方に来ていると感じた。行政や民間の支援策はあるが、お金になるところにしか資金が回らず、ITリテラシーが低く、資金力もない地方の生産者や中小企業は何も打つ手がない状況だった。

資本主義を否定はしないが、一極集中で合理性を優先させてきたシステムは行き過ぎた感がある。さまざまなデータから見えてきたのは、地方の惨憺(さんたん)たる未来だった。地方が疲弊すると、やがては日本全体に暗い影を落とす。私は地方の状況を他人事のように考えていたことを猛省した。地方を支援する国の政策はいくつもあるが、それでは救えない人がいる。そういった人たちを支援する事業を作るべきだと考えた。

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