2021.02.17

Amazon、自社ECサイト支援のSelzを買収と報道 ブランドのオムニ化やマーケティングまで支援する狙いか

米・Amazonが今年1月、オーストラリア・シドニーに本拠地を構える自社ECサイト構築サービスを提供するSelzを買収したと日本経済新聞が報じた。Amazonも買収を認めているという。国内で競合する楽天は、ECサイト構築サービス大手の米・Shopifyと連携し、ブランドの「楽天市場」出店を推進している。Amazonも自社ECサイトを展開するブランドを取り込む狙いがありそうだ。

もともと、Amazonは書籍の自社ECサイトから開始し、商品ラインアップを拡充するとともに、外部企業が出店し、Amazon内で販売できるようにするマーケットプレイスサービスを開始した。EC市場が拡大・多様化する中、自社ECサイトにおける顧客とのつながりを重視するD2Cブランドが台頭してきたり、自社ECサイトを核にリアル店舗との連携を促進する動きが加速している。AmazonはSelzを買収することで、こうしたニーズを取り込むとともに、AmazonのマーケットプレイスをPRチャネルとして活用を促したり、自社ECサイトの運営事業者に物流サービスを提供したりすることで事業規模のさらなる拡大を図る考えもありそうだ。

前述の通り、楽天はShopifyと連携し、自社ECサイトを展開するブランドの取り込みを図っている。ヤフーは2016年7月、ECパッケージ大手のコマースニジュウイチを買収した。コマースニジュウイチがECサイト構築を支援する大手企業のPRチャネルとしてヤフーショッピングなどを活用する施策などもあったが、思うようなシナジーを生むことができず、2020年1月にEストアーへコマースニジュウイチを売却した。ECモールが自社ECと連携する取り組みは、これまでも様々なケースがある。

Amazonはクラウドコンピューティングサービス「AWS」や、決済サービス「AmazonPay」、物流サービス「FBA」などEC事業のインフラ部分を担うサービスを抱えている。ただ、これらのインフラサービスをSelz導入企業に提供するだけであれば、買収のメリットは限定的だ。Amazonのマーケットプレイスとの効果的なシナジーを生む施策や、もしくはAmazonのビッグデータを生かしたマーケテイング支援、さらにはAmazonが展開している無人店舗の技術などを生かしたリアル展開の支援など、ブランドのビジネス展開により深く入り込んだ戦略を練っていそうだ。

当面はAmazonグループに入ったSelzが日本向けのサービス展開を本格化するのか、に注目したい。

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