2021.02.12

楽天、2020年の国内EC流通総額19.9%増 新規・復活購入者ともに約27%増

事業戦略を語る三木谷浩史社長

楽天は2月12日、通期決算説明会において、2020年12月期の国内EC流通総額が前期比19.9%増の4兆5000億円になったと発表した。2020年10‐12月期(純第4四半期)は、前年同期比38.5%増の1兆4000億円と大きく成長した。



「楽天市場」や楽天の自社EC事業など物販ECを中心としたショッピングEC流通総額は、2020年12月単月で同47.3%増となった。10月、11月も同40%を超える成長率となっている。

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コロナ禍のEC需要の高まりを受け、新規購入者数は前期比27.6%増、復活購入者数(1年以上購入がなかったユーザーが購入した場合)は同27.1%増となった。



純第4四半期の「楽天市場」のユーザー当たり購入額は前年同期比15.1%増、ユーザー定着率(第3四半期に購入したユーザーが第4四半期に購入した割合)は約78%に達した。



三木谷浩史社長はEC市場全体の動向に対して、「(流通全体全体に占める)ネット販売が6、7%程だが、これからさらに増えてくるでしょう。欧米並みの20%くらいになるとEコマースマーケットは3倍くらいになる。それでもまだ70、80%くらいがオフラインの取引だと考えると、ペイメントもそうだが、うちのデータ・ポイントなどを使いながら、いかに商品をプロモーションしたり、集客したりする市場は本当に大きいと思う」と話す。



さらに三木谷社長は、「西友さんとの取り組みも全国にEdy使ってもらっていたり、ポイントパートナーがいたり、ということもあり、(出資比率は)20%にとどめさせていただいた。西友さんと作ったデジタルトランスフォーメーション(の成功モデル)を地方のスーパーさんにも使っていただく。地方のパートナーさんもいいし、エンドユーザーもいいし、われわれもいいというトリプルウィンを目指す」と語った。


物流の利用拡大、出荷量は140%増


楽天スーパーロジスティクス(RSL)の2020年における利用店舗数は前年比87.4%増、出荷量は同140.7%増となった。物流サービスをさらに拡充するべく、日本郵便と戦略的提携に向け合意し、新たな物流プラットフォームを構築する。



楽天西友ネットスーパーの純第4四半期における流通総額は、前年同期比39.9%増となった。神奈川・港北に新たな物流センターを開設する。常温、冷蔵、冷凍の3温度帯で商品を保管でき、自動化設備を導入している施設を2021年中に本格稼働する計画だ。



成長フェーズにある「Rakuten Fashion」は、2020年12月末の取り扱いショップ数は前年末比156店舗増の1307店舗となっている。ラグジュアリー専門の販売ページを設けたり、コンテンツをさらに拡充し、顧客基盤拡大につなげている。

C2C事業であるフリマアプリ「楽天ラクマ」は2021年1月、手数料を3.5%から6.0%に改定した。収益力を高め、顧客基盤のさらなる拡大のために投資を強化する。


「楽天グループ」への変更は資本強化、新規ビジネス促進が狙い


三木谷社長は「楽天」から「楽天グループ」に社名を変更する計画に関して、「銀行、カード、証券など業界他社に比べると圧倒的な成長スピード、圧倒的な収益性だと思う。その割に日本の場合はコングロマリットディカウントという形で正確に株価に反映されていないところもある。そんな中、今までは親会社集約的に資金調達を行ってきたが、今後は様々な形が考えられる。特に金融においては成長資金も必要だ。(社名変更は)そういう意味合いもある」と説明した。



さらに三木谷社長は、「(社名変更の狙いの)二つ目は新しいビジネスを育てていこうということ。不動産であればLIFULL、グルメであればぐるなびのように、資本業務提携もどんどん進めていく。楽天経済圏を既存ビジネスの外に広げる。そのために100%子会社主義を少し緩めていくという考え方でもある」と語った。

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