2020.03.05

【125社に独自調査】「新型コロナ」EC市場への影響は? 41.6%が「業績押し下げる」と回答

【緊急アンケート「新型コロナウイルスのEC市場への影響は?」】

「製造・仕入れ」「景気悪化」を懸念



新型コロナウイルスの感染が拡大し、EC業界への影響が広がっている。日本流通産業新聞では、通販・EC市場への影響について緊急アンケート調査を実施。EC事業者125社から回答を得た。業績への影響に関する質問では、全体の41.6%が「業績を押し下げる要因になりそう」と回答。具体的なマイナス要因では、「製造・仕入れへの影響」「景気悪化による消費減退」を懸念する声が多かった。


どちらの側面もある


「新型コロナウイルスは業績にどのような影響を与えそうですか」という質問に対して、「業績を押し下げる要因になりそう」という回答が最も多かったが、「どちらの側面もある」と回答した事業者も全体の38.4%と多かった。

製造や仕入れが止まったり、景気が悪化し消費が減退する懸念とともに、足元では衛生用品や日用品の売り上げが伸びているようだ。業績を押し上げる影響があると回答した事業者の58社中40社が、「外出が減ることで通販・ECでの購入が増えている」と答えた。「一部の商品の購入が増えている」と回答した会社も58社中28社と多かった。



中国の生産に問題


製造・仕入れへの影響について尋ねたところ、回答企業87社中、31社が中国の製造現場に遅延が生じたり、生産中止になっていたりしていると答えた。幅広いカテゴリーで製造を中国に頼っている現状があり、すでに商品調達に影響が生じていることが分かった。

商品自体の生産だけでなく、容器や部品の調達に問題が生じ始めているという声も多かった。ある楽器販売事業者は、「生産地が米国や英国でも楽器類の細かなパーツは中国製が多く、影響が出始めている」と話した。

ある事業者は、「仕入れ先メーカー200社にアンケート調査した。現在まだ影響はないが、4月ごろに中国で生産しているメーカーは欠品祭りになりそう」とさらに状況が悪化すると指摘した。

「まだ大丈夫」と答えた事業者も、「今後、納期が遅れたり、仕入れがままならない状況になりそうだ」と危機感を募らせる声が多かった。

イベント中止も影響


アンケートの中には、「卒業式・入学式のイベント中止により季節商品を取り扱う当社では、昨年よりも顕著にキャンセルが増えると予測している」という回答もあった。

「展示会の中止により、今後の仕入れなど計画に影響が出そう」という声もあった。

他にも「楽天やアマゾンの倉庫を利用しているが、その施設で新型コロナウイルスの感染が発生した場合、物流がストップしないかが最も心配」という意見も寄せられた。

巣ごもり消費の拡大でECの利用は拡大しているが、製造・仕入れへの影響はそれ以上の大きなマイナス要因となりそうだ。


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