2020.11.16

【国内の決済代行会社初】SBペイメントサービス、AIを活用した不正検知サービスを提供 安価なシステムを独自開発

ソフトバンクの子会社であるSBペイメントサービスは11月11日、同社のオンライン決済サービスを導入した事業者向けに、AIを活用した不正検知サービス「AI不正検知」の提供を開始した。国内の決済代行会社として初の不正検知サービスの自社開発により、事業者が安価に導入できるサービスの提供を図った。

このほど提供を開始した「AI不正検知」は、決済情報と機械学習で不正利用を検知するサービス。年間数億件を超える決済データにより、あらゆる不正パターンを機械学習してモデルを作成することで、人間では見分けがつかない不正パターンとの類似性をスコアとしてリアルタイムに算出することが可能だという。これによりSBペイメントサービスのオンライン決済サービスを利用する事業者は、「AI不正検知」を利用し、AIにより算出される決済ごとのスコアから疑わしい取引について確認することで、クレジットカード決済による不正な取引の早期発見が可能になるとしている。


「AI不正検知」の利用イメージ

従来の不正検知ツールの導入は、事業者からの追加情報が必要なケースが多く、画面の開発や規約改定といった導入負荷が発生していた。一方「AI不正検知」は、決済で利用している情報を利用するため、事業者の導入負荷を軽減できるという。またプランによっては、不正利用が疑われる取引を抑止できる事業者独自ルールの設定や、疑わしい取引だけに本人認証サービス(3Dセキュア)の認証を追加する機能を提供。これらの機能により事業者は、動的な対策を行い、「属性・行動分析」に該当する改正割賦販売法の対応が可能としている。

「AI不正検知」には3つのプランがあり、手軽に利用を開始できる無料の「フリープラン」では、決済情報および振る舞いにより、リアルタイムにスコアを返却。スコアは専用画面にて決済ごとに確認できる。「フリープラン」の内容に、事業者自身がスコアリング後の当該取引の提供可否や取扱いを設定できるルール判定の機能を提供する「スタンダードプラン」、さらに事業者独自のルールを作成・設定でき、ルール判定の設定において、本人認証サービス(3Dセキュア)の認証を追加できる機能が利用可能な「アドバンストプラン」もある。

近年、クレジットカード決済における不正利用被害は拡大を続けており、2019年にはその被害額は273億円を超え、前年比116%となった。2020年には、新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、外出自粛によりEC利用の需要が高まりを見せている。総務省の発表によると、2020年5月のネットショッピング利用世帯の割合は、初めての5割超えとなる50.5%となり、前年同月比で8.2%増加した。8月の1世帯当たりのネットショッピングの月間支出額は平均1万6483円で、前年同月比108%となるなど成長を遂げている。EC利用の需要は、今後も増加が予想され、それに伴う不正利用被害のさらなる拡大が懸念されている。

SBペイメントサービスはこうした状況を受け、事業者が安価で手軽にECでの不正利用対策を実現できることを目的とし、「AI不正検知」の提供に至ったとしている。これまで国内の決済代行会社は、外部企業と連携して不正検知サービスを事業者に提供していたが、今回同社では保有する決済データや決済に関する知見を生かし、独自で不正検知サービスを開発。国内の決済代行会社として初めて、不正検知サービスの自社提供を行い、事業者のニーズに対応を図った。

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