あなたは、自分が買い物をしたことがあるECサイトから、一斉配信と思われるメルマガが毎日たくさん送られてきて、嫌な思いをした経験はありませんか?
顧客へのメッセージ配信手法は、LINEやSMS、郵送DMなどいろいろな手法が広がっています。ただ実は、ECではまだまだ、メール経由の再注文が圧倒的に多いと言われています。
【第3回 休眠顧客に再購入してもらう効果的な取り組みとは?】 今回の記事では、顧客にあわせた内容を送ることで高い効果をあげることができる「パーソナライズドメール」について、効果を最大化させるための4つのポイントと、実現方法を解説します。
お客さまの興味にあわせたコンテンツで、エンゲージメントを高められるメッセージ配信を目指しましょう。
そもそもパーソナライズドメールとは? 顧客ごとに最適な内容を差し込んで配信するメールを、「パーソナライズドメール」といいます。元になっているパーソナライゼーションという言葉は、One to One マーケティングとも言われ、マーケッターの間では一般的になりつつあります。ただ、CRMでこれを実現できている企業はまだごく一部です。だからこそ、今、「パーソナライズドメール」を実現できているECサイトは、顧客からも喜ばれ、非常に効果的にリピーターを増やすことができています。
パードナライズドメールの効果を最大化させるポイント 1.個人別の件名 メールを見る際に、まず最初に目に付くのが「件名」です。「パーソナライズドメール」というと、開封したコンテンツ部分が注目されがちですが、顧客は件名によってメールを開くかかどうか判断しています。そのため、件名を顧客別に表示することで、メール自体の開封率を高め、購入数を最大化させることができます。例えば、昔からよくある手法では、件名に受信者の名前を差し込む施策があります。他にも、顧客が興味を持つであろう商品名やキャッチコピーを、顧客ごとに自動挿入することは非常に有効です。にもかかわらず、実現できているショップは実際のところ少ないのです。
2.個人別のファーストビュー 件名と同じロジックで、顧客が最初に目に触れるところから改善すると、効果の最大化につながります。メールコンテンツでは、ファーストビューが最も重要です。なぜなら、見ている母数が多いほど、改善効果が大きくなるからです。メールを下にスクロールするほど閲覧母数は減り、目立たないところを改善しても、改善効果は小さくなってしまいます。一方で、大規模ECサイトでは、目立たないところも一定の母数が見ており、細かい改善でも費用対効果が生まれるケースがあります。
このファーストビューに、おすすめ商品など、顧客別のコンテンツを差し込むことで、非常に大きな改善効果をあげることができます。
3.レコメンドの予測精度 お客さまが興味を持つであろう商品を予測して、一人一人に自動表示することをレコメンドといいますが、この予測精度によって効果が大きく変わります。
一口にレコメンドといっても、その手法によって、予測精度が高いものから低いものまで存在します。例えばAIを使ったレコメンドの場合、どんな学習データを利用しているかは判断の一つの目安になる場合があります。より多くのデータを学習した方が予測精度は上がりますが、一方で計算コストも増加します。そのため利用するレコメンドエンジンによっては、ECでは費用対効果があわない場合があるため、注意が必要です。
レコメンドによる売り上げ向上効果を試算して、それに対してどの程度まで費用をかけられるかの判断が必要になります。予測精度が高く、ECに特化したレコメンドエンジンを利用した場合、メール経由の売り上げが継続的に2〜3倍になり、かけた費用の10倍の売り上げ向上効果が出たというケースも存在します。
4.クリエーティブの質 キャッチコピーを含めたメールのデザインの質は、直接お客さまの目に触れる部分になるため、非常に重要です。どんなに高い精度でパーソナライズされたコンテンツを表示しても、人の心を動かす言葉やデザインがなくては、最終的な購入には至りません。そのために、マーケッターは、データだけではなく、メッセージを受け取るリアルな人間を想像して、適切なクリエーティブを届けなくてはなりません。この部分は意外と見逃されがちなポイントです。精神論ではありませんが、これができるかどうかで、成果は天と地の差が出ます。どんなに高度なテクノロジーを使うようになっても、本質は、「人が人にメッセージを伝える」ことであり、戦略やノウハウやシステムはそれを実現するための手段に過ぎません。