2020.08.24

【BtoB越境ECの新戦略】ラクーンコマース、『4つの負』解消へ 台湾特化の「日貨百貨」開設ストーリー

リモートで運営している「日貨百貨」のチーム。ラクーンコマース グローバル戦略部 元健一郎部長(写真上段右)、浜本健作氏(写真中段左)もいる


卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」を運営するラクーンコマースは5月7日、台湾に特化したBtoBの越境ECサイト「日貨百貨 by SUPER DELIVERY(日貨百貨)」を開設した。元々、BtoBの越境ECサイト「SD export」を通して134カ国に向けて販売しているが、特に成長性が高い台湾向けに現地のバイヤーが利用しやすい販売チャネルを設けた。開設から間もないが、すでに毎日のように注文が来ており、新たな売れ筋も出てきている。BtoBの越境ECでローカライズした経緯や、構築基盤にスターフィールドが提供する越境ECカート「LaunchCart(ランチカート)」を選んだ理由などをラクーンコマース グローバル戦略部の元健一郎部長と浜本健作氏、スターフィールドの星野翔太社長に聞いた。


台湾特化のサイトを開設したワケ


――「SD export」で134カ国のバイヤー向けに越境ECで日本のサプライヤーの商品を販売しています。中でも台湾向けの流通額が大きいと聞いていますが、台湾に特化した越境ECサイトを開設した理由は?

ラクーンコマース 浜本:台湾のバイヤー向けにはすでに販売し、伸びてもいますが、課題もありました。課題は、①言語②商品③物流④決済――と大きく4つあります。

言語に関しては、「SD export」はデータベースを英語で構築しており、各国の言葉へは、弊社独自の翻訳システムとGoogle翻訳を併用して対応しております。そのため、英語でしか商品情報が検索できず、検索サイトでもサイト内検索でも台湾で用いられる中国語(繁体字)の検索には引っかかりません。さらに誤訳もあるため、サイト自体の安心感が欠ける点も課題でした。

商品については、「SD export」が134カ国に展開しているため、サイト上には世界中の国で売れている商品が並んでおり、必ずしも台湾でよく売れている商品が目立つ場所に掲載されておりませんでした。取扱商品数は60万点あるため、台湾のバイヤーが求めている商品が埋もれてしまったり、探しづらい状況でした。

物流ではリードタイムや通関への対応に課題がありました。「SD export」で台湾のバイヤーが購入した場合、サプライヤーには国内の当社の契約倉庫に納品していただき、そこから各クーリエの倉庫に横持ちするという流れで、横持ちするコストや時間がかかってしまっていました。さらに、「SD export」では商品を購入したバイヤーは商品が届くまで関税などが分からない仕組みになっていました。

決済について、「SD export」はクレジットカードやPayPal、T/T(国際送金)に対応していますが、台湾のバイヤーの方が利用しやすい決済手段をそろえているとは言えない状況でした。こうした課題を解決するために「日貨百貨」を開設しました。


台湾に特化したBtoBの越境ECサイト「日貨百貨」

――どのようにバイヤーが感じる『4つの負』を解消したのですか?

浜本:言語と商品の課題に関しては、当社で設定した台湾のバイヤーのペルソナが利用していただける商品に絞って掲載することで解消しました。「SD export」では原則的にサプライヤーが商品情報を登録するのですが、「日貨百貨」では全商品を当社で登録しています。台湾のバイヤーが目を引く商品が並んでおり、さらに中国語(繁体字)で検索できるため、探しやすくもなりました。SEO対策のためのキーワードを盛り込んでおり、サイズの表記も統一することで分かりやすくなりました。

物流に関してはECMSジャパンと連携することで解消しました。「日貨百貨」で売れた商品はダイレクトにECMSジャパンの倉庫に納品してもらうため、時間やコストが削減できています。通関に関しては、弊社で関税と営業税を立て替える仕組みにしました。台湾のバイヤーには、購入までに関税や営業税、送料が全て分かるようになり、安心して購入していただけるようになりました。

決済は「LaunchCart」を導入することで、現地決済に迅速に対応できました。クレジットカードに加え、台湾でのニーズが高い後払いに対応しました。商品価格は台湾ドルで表記しております、海外通貨建てで販売するのは当社としても初めての取り組みです。「仕入れる人が一番使いやすい仕入先となる」というビジョンを持っており、「台湾のバイヤーが仕入れやすいサイトとはどんなサイトか」ということを逆算してサイトを設計しています。


「SD export」と「日貨百貨」の違い


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