テレビショッピング最大手のジュピターショップチャンネルは2020年3月期、前年の減収から一転して増収となり、過去最高の売上高を更新した。増収要因について「原点回帰を徹底してきた」と語る新森健之代表取締役社長に、原点回帰の取り組み内容と今期の抱負を聞いた。
ファッションアイテム強化
――ショップチャンネルの社長に就任して1年以上が経過した。
ショップチャンネルの社長に就任したのが2019年4月だから1年と3カ月だ。その最初の1年で増収に転じ、過去最高を売り上げた。私は以前、住友商事に在籍したときショップチャンネルに関わっていたが、あらためてショップチャンネルの現場力を実感している。創業して23年たち、かなり精度を上げて研ぎ澄まされ、立派な会社に成長した。各担当者のプロ度が高く、ここまで来る歴史の中で、相当すごいノウハウを積み上げてきていると思う。
――2020年3月期の売上高は、前期比2.6%増の1634億円だった。増収要因は。
2019年3月期で成長が止まったとき、仮説を立てて理由を検討した。その結果、原点回帰をしなければいけないということで、昨年1年間はそれを徹底してきた。要するにショップチャンネルの強みは何かを追求し、ショップチャンネルならではの商品をお届けすることに注力した。中でもファッションアイテムを強化したのが原点回帰の一つだ。
――なぜファッションの強化が原点回帰につながるのか。
購入頻度の高い優良のお客さまは、ファッションアイテムを数多く購入していることが分かったからだ。もしかしたら売り上げが落ちた大きな原因は、ファッションをたくさん買ってくれるような番組編成、商品編成になっていなかったからではないか。ショップチャンネルの原点は何かというと、それはお客さまがワクワクして、その瞬間を楽しめるようないいものをお届けすることだ。いい商品、いい番組を作って、エンターテインメントとして楽しく、そして間違いなくお届けする。そこに対して高単価で人気の商品に偏るなど、手を抜いていたところがあったのではないかと仮説を立てた。