2020.03.06

【楽天SOY2019】127店が語った”楽天攻略法” <受賞店に「成長要因」「送料無料対策」を聞いた>



[2]総合賞(TOP10)


■ 総合グランプリ 「A-PRICE楽天市場店」

〈「生活家電ジャンル大賞」「ダブルイヤー賞」も受賞〉

A―PRICE
取締役営業本部長 大西剛氏

商品・サービスで独自性強化

一昨年は8位、昨年は5位だった。今回の受賞は素直にうれしい。大型家電の配送・設置など、お客さまの自宅に上がって行う「血の通った商売」を念頭においてのサービスを強化したことが、受賞の一番のポイントだと思う。サービス面に加え、商品展開の面で独自性を打ち出せたこともこの結果につながった。

増税もあり、苦戦が予想されていた昨年は、前年以上の売り上げを目標にチーム全体で取り組んできた。その結果、楽天市場店での売上高も前年比2桁増の数字を残せた。家電業界全体が苦戦した中、着実に数字を伸ばせたことも受賞の要因ではないか。

当店の一番の強みはプライベートブランド(PB=自主企画)商品。自社ブランドである「maxzen(マクスゼン)」を展開することで、モール内他店との差別化が図れた。PB商品の主力だったテレビに加えて、近年は冷蔵庫や洗濯機などの展開も増やしている。こうした白物家電のヒットも売り上げ拡大をけん引した。主力であるPB商品の大型家電と、当社が強化している配送・設置サービスとの連携が、お客さまからの支持につながったのではないかと考えている。

楽天市場の中では、自店の存在感と独自性を保つために品ぞろえの拡充に日々努めている。サイトでは、他社の家電量販店が扱っていないようなジャンルの商品も幅広く取り扱い販売している。スポーツ用品や、設置作業を伴うような住設機器も昨年売り上げが向上した。家電だけでなく、非家電の分野でも、当店に合う商品ジャンルに関しては、今後も積極的に取り入れ、品ぞろえをより拡充していきたい。PB商品に関しても、非家電の分野を含め、ラインアップの拡充に努めていく。



■ 総合2位 「くらしのeショップ」

〈「百貨店・総合通販・ギフトジャンル大賞」「ダブルイヤー賞」も受賞〉


eビジネス部長 業務課長 西出康人氏

本当に役立つ商品の提供が重要

増税や、天候にも恵まれず、苦しい1年だった。当社は季節商材が大半を占めている。また高価格帯でもないため、増税や天候の影響は大きなダメージとなった。大きな影響を受けながらも、当社YAMAZENオリジナル商品だけでなく、他のメーカーさんの協力も得ながら、いろいろな商品やアイデアをいただき、販促はあの手この手を尽くした。

昨年は、商品数を増やす施策というよりは、異常気象の影響もあり、防災関連の商品や工事現場で活用できる商品を展開していったことで、売り上げを確保することができた。他にも、親和性の高い商品をグルーピングして、ついでの購入やセット購入を促す施策も行ってきた。
今後もオリジナル商品を含め、商品開発には注力するが、季節性のある商品から、非季節性の商品の投入も進めていく必要がある。

例えば、扇風機だったら、同じ扇風機の中でもサーキュレータータイプなどに変えていけば、季節に関係なく、年間を通して販売することができる。海外から商品を仕入れてやっていることもあり、極端にはシフトできないが、非季節性の商品の選定もしていき、年間を通して売れ続ける商品開発を検討していく必要がある。

一方で、継続して販売が好調なのが、防災関連商品だ。一部は季節性商品のジャンルになるが、お役立ち商品としての価値があるため、商品開発はこれからもしっかりやっていく予定だ。今年のように暖冬の影響もあるため、商品の需要予測の精度を上げていかないといけない。

当社は、手頃な価格が一つの強みだが、その一方で、高単価商材の投入も一つの施策として、検討する必要があるのではないかと考えている。

2020年が始まっているが、現状は苦戦している。オリンピック需要やコロナウイルスなど、話題となっているテーマをクリアしていかないといけない。課題も多いが13年連続の受賞と今回の総合2位をいただいて、もう一度全員で当社の顧客に、本当に役立つ商品が何なのかを分析し、提供していくことが重要だと感じている。



■ 総合3位 「アルペン 楽天市場店」
〈「スポーツジャンル大賞」も受賞〉


EC事業部部長 武藤恵一氏

店鋪限定品を導入して欠品防止

アルペン楽天市場店は2019年楽天ショップ・オブ・ザイヤーで総合3位を獲得した。店舗限定の商品をECに導入したことで、欠品などの問題を解決したことが、売り上げ伸長につながった。

2018年は、在庫面における問題が競合他社より明らかに目立っていた。顧客が商品を購入したいときにチャンスロスを起こしていた。

2019年の春から夏にかけて、EC事業部が商品部など他部署との連携を開始。2018年に開設した体験型の店舗限定の珍しい商品をECに順次取り入れ、チャンスロスをなくした。商品構成とラインアップでの問題を改善するなど、全社一丸となって取り組んだ結果、商品点数は昨年より5~10%ほど拡充した。

2018年4月に物流倉庫を千葉県印西市に移転した。移転により、配送リードタイムを短縮することだけでなく、在庫もより多く確保できるようになった。これまでは自社の倉庫を利用していたが、外注することでコストの削減にも成功している。

また、楽天市場と体験型の店舗を活用した「オンライン・ツー・オフライン」も受賞に至った理由の一つとなった。楽天市場で商品を見て店舗に来店する人が増えただけでなく、相対的にECの利用者が増えていると考えている。楽天が送料無料ラインを3980円に統一することに対しては、楽天の方針やルールに従う。特別な対策を実施する予定はないが、利益率がある程度下がるのは覚悟している。

スポーツ用品を扱っているEC業界の価格競争は激しさを増している。スポーツウエアの人気ブランド「ティゴラ」を中心に利益率の高いPB商品のラインアップを充実させるほか、アウトレットとして放出される前に商品を販売するような体制を構築し、利益をコントロールしていく考えだ。単価が高い商品も多数取り扱っているので、具体的な影響がどの程度出てくるのかは未知数でもある。



■ 総合4位 「サプリ専門SHOPシードコムス」
〈「ダイエット・健康ジャンル大賞」「ダブルイヤー賞」「ラ・クーポン大賞」「ベスト店長賞」も受賞〉


マネージャー 東江章乃氏

クーポンを毎日発行

ジャンル賞ではラ・クーポン大賞、特別賞ではベスト店長賞も受賞している。2019年はクーポンを毎日発行し、これに最も一番力を入れた。お客さまの購買促進を重要視した。受賞は昨年に続いて2度目。3年連続を目標としており、来年も受賞を目指していく。当社の拠点は沖縄。昨年や今年のSOYに登壇していないスタッフもいるので、会場に連れていきたいという思いだ。




■ 総合6位 「アンド ハビット」
〈「生活家電ジャンル賞」「ラ・クーポン賞」も受賞〉


販売本部 ECセールス部 キープラットフォーム課 課長 宇良純一氏

ヒートブラシがヒット

ヒット商品を生み、流行させていくという部署の取り組みを評価してもらえたことが、受賞につながったと思う。昨年は、「サロニア」のヒートブラシなどのヒット商品が売り上げをけん引した。売上高は前年比10%増の数字を残すことができた。2020年も大きな動きは変わらないが、これまでの人気商品を引き続き流行させつつ、新たなヒット商品を意欲的に生み出していきたい。



■ 総合7位 「THINK RICH STORE」
〈「生活家電ジャンル賞」も受賞〉


EC事業課長 高井智嗣氏

「どこよりも安く」提供

価格訴求が奏功したと思う。空気清浄機などの価格設定を見直し、前年よりも安く提供できるようにした。20年1月度の売り上げは、前年同月と比較すると40%増加している。当社は広告出稿にはあまり力を入れていない。価格を重視している。「どこよりも安く」を心掛けている。
2020年は在庫の確保と、さらなる低価格での提供を重視していく。



■ 総合8位 「タオル直販店 ヒオリエ」
〈「日用品雑貨・手芸・旅行用品ジャンル大賞」「ダブルイヤー賞」も受賞〉



日織恵 専務取締役 安井耕二氏

楽天の広告投資が奏功

12年前に楽天市場に出店し、今回で10回目の受賞となる。2018年から2019年にかけて楽天の広告投資の強化を中心に商品の認知向上を図ったことが受賞につながったと考える。主力商品のタオルは日用品で消耗品でもあるので、リピート購入が多い。ECでのリピート率は60%以上で、2019年3月期のEC売上高は前期比5%増の25億円と成長している。

また、商品それぞれの良さを伝えることで、新規顧客の数も堅調に伸びている。2020年は使用シーンに合わせて利用できるタオルを自社で開発し、販路を拡大したい。「顔を拭く」「身体を拭く」などの利便性に特化させたタオルを展開していきたい。

楽天の送料無料ライン統一に向けては、メール便など送料を要さない形で商品の配送を行っていきたい。当社のECサイトでの販売のうち、メール便の比率は5割を占めている。

タオルは低価格帯のものが多いので、メール便では対応できない一部地域では無料ラインが3980円だと厳しい状況になる。現在、セット物など高価格帯の商品もあるので、2020年はさらにセット展開を充実させることで送料無料ライン統一に対応していきたい。新しい対策は考えていないが、楽天市場のユーザーの利用状況を踏まえて具体的な策を講じたい。



■ 総合9位 「アットコンタクト」

〈「医薬品・コンタクト・介護ジャンル賞」も受賞〉


主任代理 小坂和広氏

定期購入で売上伸長

定期購入が売り上げ伸長を後押しした。顧客の強い要望により、2019年10月から定期購入を開始した。定期購入と商品ラインアップの変更がシナジーを創出し、増収につながった。楽天の「あす楽」やプロモーションも活用し、新規顧客も獲得していく。楽天の送料無料ラインの統一には賛成している。もともと、3980円以上商品を購入した人を対象に送料を無料にしていたので歓迎したい。


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