2020.07.15

【記者コラム】いまこそ、EC初心者に優しく

大手企業が次々と通販・ECを活発化しています。ちふれホールディングスのグループ会社・光未来は7月7日、カタログ通販を開始。ちふれブランドは、ほぼ全てのブランドですでにECを展開していましたが、年配顧客の利用を図るため、電話やファクスでも注文可能なカタログ通販に乗り出したといいます。参入した理由の一つには、コロナ禍の影響により、顧客が店舗で買い物する機会が減ったことがあります。

シャープは、化粧品ECに進出する見込みです。現状は、戴正呉会長兼最高経営責任者(CEO)が従業員向けのメッセージで公表した段階のため、具体的な計画などは明らかになっていません。ただ、このタイミングで新たなECジャンルを拡大する方針をとるのは、コロナ禍を背景としたECの利用拡大が絡んでいるように思えます。

「楽天市場」に出店しているある事業者を取材したところ、顧客から寄せられる電話の内容が、コロナ禍前と比べてかなり変わったと言っていました。50代や60代の、年配の男性による問い合わせが増えたのだとか。中には、「ECを利用するのは初めてなので、注文の仕方を教えてほしい」という高齢女性から電話があり、一つ一つレクチャーすることもあるのだといいます。

在宅率の高まりに合わせて、自宅でできる筋肉トレーニンググッズを拡充したことや、自宅で楽しめる雑貨の取り扱いを増やしたことが理由とみています。お祝いごとの贈答用に利用するケースも増えたそうです。以前は、30代を中心とした女性による問い合わせが多く、相談内容もアパレル商品について、ファッションの組み合わせを聞かれることが多かったと話していました。話を聞きながら、今までECや通販を利用しなかった人たちも、関心を向けていると実感しました。新規顧客の定着率は良いそうです。

高齢者は、いまだにECや通販で買い物することに懐疑的な人も少なくありません。不慣れだったり、店頭で手にとって買い物するわけではないので、商品の質を疑う人もいます。ですが、高齢女性に電話口で一つ一つ買い物の仕方を説明したという話に、温かい気持ちになりました。そこまで丁寧な対応を受けたら、通販・ECによる購入体験は良いものになるでしょう。また次の購入につながる気がします。

巣ごもり需要の高まりで受注が増えたEC・通販事業者にとっては、いまは忙しい時期かと思います。ただ、こんなときこそEC初心者に優しい事業者が増えてほしいです。

RECOMMEND合わせて読みたい

RELATED関連する記事

RANKING人気記事